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CMCデータインテグリティ

第4回
電子天秤の目視による秤量値記録の信頼性はどうやって担保する?
電子実験ノートを使えば、データインテグリティ対応で求められる生データ管理が実現可能!

シンプルな操作の電子天秤、しかしデータインテグリティ対応にとっては手強い存在!?

前回のコラムで、データインテグリティ対応を全自動に行ってくれる夢のソリューションは存在しないということがお分かりいただけたでしょう。そこで本日から数回にわたり、電子実験ノート(以下、ELN)とインフラシステムを活用した、データインテグリティ対応ソリューションについて具体的にご紹介いたします。

化学合成・バイオロジカルアッセイ・物性分析など業務問わず、電子天秤は必ず使われていますが、この身近な電子天秤を例にとって、データインテグリティ対応を考えてみましょう。

電子天秤

電子天秤の使い方は、いたってシンプルです。秤量皿に、測定対象の試料を載せるだけで、すぐに欲しい結果、すなわち秤量値が得られます。しかし問題は、ディスプレイに表示される秤量値をどうやって記録するかです。これについて、通常は目視により、秤量値を実験ノートへ手書きにて記録していることが多いのではないでしょうか。しかし、電子データにしないことには、レポート作成や解析が行えません。そのため、実験ノートの記録からExcelファイルなど電子データへの転記も頻繁に行われているはずです。

これらは日常的に行われている作業には、データインテグリティ対応でどのような課題があるでしょうか。以下の図をご覧ください。

図:シンプルな操作の電子天秤、しかしデータインテグリティ対応にとっては手強い存在!?

最初のステップである計測で、目視による秤量値の記録には、誤記・転記ミスが起こるリスクが大いに潜んでいます。また本質的には、最初に記録した実験ノートが生データとなりますが、そこから転記したExcelなどの電子データと二重管理になり、整合性が取りづらくなります。更にExcelなどOfficeドキュメントには変更履歴が記録されないため、様々な変更が加えられることで、生データに辿るプロセスを見失ってしまうこともあるでしょう。

ELNで目視による転記が不要になる

電子天秤を用いるポイントにELNを導入すると、作業フローはどのように変化するでしょうか。

先ず電子天秤をRS-232CケーブルやUSBケーブル接続で、ELNがインストールされているパソコンに直接繋ぎます。そして、電子天秤での秤量後、印字ボタンなどを押すことで、紙にプリントアウトされる代わりに、ELN画面に直接データが取り込まれます。

図:IDBS社電子実験ノートシステム E-WorkBookのノート画面(秤量値記録) 図:IDBS社電子実験ノートシステム E-WorkBookのノート画面(秤量値記録)

興味深いことに最近の電子天秤は、ワイヤレス通信により無線でパソコンに繋げられる機種も増えてきました。このように、実験室でも電子実験ノートが利用しやすい環境になってきているのです。

生データの保全も標準機能で保証される

また、最初に記録される媒体がELNとなるので、ここに取り込まれた秤量値が生データとなります。ELNにいったん取り込まれたデータは、全て監査証跡の対象となります。
そのため、生データ(秤量値)に対する修正などの変更履歴が全て記録として残り、バージョン管理されていきます。ELNを用いることで、生データはセキュアな状態で管理が可能となりますが、万が一生データに変更が加えられた場合でも、容易に変更の過程を辿ることができるようになります。

図:E-WorkBook Audit Trail画面 図:E-WorkBook Audit Trail画面

ELNを用いることで、秤量業務において、以下のようにデータインテグリティ対応がカバーされることになります。

図:ELNを用いることで、秤量業務において、データインテグリティ対応がカバーされることになる

今回は電子天秤を例に挙げましたが、その他pHメーターや電子ノギスなども同様のフローにより、ELNでデータインテグリティ対応が可能となります。

次回は、もう少し複雑なデータ形式が出力される実験機器を例に挙げ、ELNによるデータインテグリティ対応をご紹介します。

※ パソコンへの接続形式やデータ出力機能は、電子天秤の機種によって異なります。

電子実験ノートシステムE-WorkBook について
idbs

E-WorkBookは電子実験ノートプラットフォームです。試験単位で関連データやファイルの作成・管理ができ、部門やプロジェクト間のデータ共有が行えます。21 CFR Part 11 対応ソリューションであり、セキュリティやバージョン管理の完備、電子承認やタスク管理もできるため、ファイルサーバーの発展形としてもお使いいただけます。

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