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- 沢井製薬株式会社
生物研究部 生化学グループ
グループマネージャー - 田中 祥之 様
- 沢井製薬株式会社
国内最大手のジェネリック医薬品開発メーカー(以下、ジェネリックメーカー)の沢井製薬株式会社(以下、沢井)は、2006年の大阪市淀川区(新大阪)にある現在の本社・研究所(以下、研究所)への拠点統合・移転に伴い、それまで各拠点で管理を任していた試薬の在庫管理と化学物質のコンプライアンス対策を図るため、他社が開発した旧試薬管理システムを導入して運用していました。
しかしながら、日々厳正化されていく規制の中、将来の国内外で多くのジェネリック医薬品輩出に向けた事業強化を見据えた沢井は、コンプライアンスレベルの引き上げが必要だと判断し、旧試薬管理システムをCTCLSが開発した法規制化合物チェック支援システム「RegSys」と試薬管理システム「RAKTIS」に置き換えることで、化学構造式ベースの法規制チェックの運用を開始しました。
これにより、購買システムと連動したRAKTISを用いることで、研究者が試薬購入から発注する過程で、RegSysによる化学構造式ベースの法規制チェックが欠かさず行われるため、規制対象化学物質を含む試薬の所持を購入前に防止できるようになりました。更に長期間にわたる運用レベルの維持管理に最大限の注意を払って策定した運用ルールにより、業務や担当者の違いで揺らぐことのない、常に一定のコンプライアンスレベルを確立させました。
課題と効果
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- 課題①
- 旧試薬管理システムでは、試薬のCAS番号と、試薬ベンダーがカタログと共に提供していた法規制情報を登録するという運用だった。しかしこの作業を各部署の担当者に任せていたため、担当者交代などで運用に綻びができ、化学物質のコンプライアンス対策が十分とは言えない状態になっていた。
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- 課題②
- 危険ドラッグ氾濫などの社会的背景により、製薬業界でも化学物質の規制強化が進むにつれ、化学構造式の情報によらない法規制チェックでは太刀打ちできなくなると懸念を抱いていた。
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- 課題③
- 旧試薬管理システムは他社パッケージ製品のカスタマイズ開発だったが、現場からの機能改善・追加を要望しても、対応に数年間も要することがあり、システム管理者と現場の研究者は共にストレスが溜まっていた。
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- 効果①
- RegSysとRAKTISを連携させたシステム(以下、RegSys/RAKTIS)の導入で、試薬購入時前には必ずシステムで法規制チェックができるため、担当者に依存せず、法規制化学物質を含む恐れのある試薬を見つけることができるようになった。また、法規制チェックの履歴が見える化され、全社的なコンプライアンスの維持管理ができるようになった。
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- 効果②
- RegSysには最新の法令を網羅した辞書があり、化学構造式に基づく法規制チェックが行えるため、万全な化学物質のコンプライアンスの仕組みを確立できた。
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- 効果③
- RegSys/RAKTISは、国内製薬企業での利用を想定した標準機能を搭載したパッケージ製品のため、沢井独自の機能を部分的に実装するだけでスムーズに要件追加や改善ができるようになった。CTCLSの対応も早く、快適な運用ができるようになった。
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導入の背景・経緯
2006年の研究所移転を契機に、試薬を管理するシステムを初導入した
- ・沢井は、年間30品目ほど申請を上げるなど常に多数の申請品目を抱えており、取り扱う試薬の種類が多岐にわたっていた。しかも2005年までそれら試薬は、製剤研究センター、大阪研究所、R&Dセンターの3拠点でそれぞれ所持保管されるという複雑な管理だったにも拘わらず、全社で一元管理する仕組みがなかった。
- ・2006年に上記3拠点を移転し、新大阪にある現在の研究所一か所に集約した。その際に、管轄消防署から有機溶媒の持ち込み量に関する厳格な指導があった。そこで、年2回の消防署による立ち入り検査で即座に答えられるよう、保有する有機溶媒・試薬の量や所在を管理する仕組みとしてシステム導入が、研究所建設の条件となっていった。
- ・そこで旧試薬管理システムの導入が決定し、当時は向精神薬や毒劇物を含む試薬に対する管理が想定されていた。
担当者のさじ加減で、CAS番号や法規制情報の登録が省略できた旧試薬管理システム、いつしか運用に大きな綻びが生じていた
- ・旧試薬管理システムはパッケージ製品のカスタマイズ開発による導入だったため、要件定義などで打合せが度重なり、沢井の負担は大きくなっていた。
- ・運用を決める際に、旧来の各部署で試薬を管理することを変えず、自部署で所有している試薬を他部署に貸し出したくない、自部署で必要分を準備した試薬を他部署が使用してしまうことを避けたいなどの理由から他部署への貸し借りを防ぐため、「他部署に特定の試薬を見せなくする機能」を実装した。これが後々試薬の一括検索ができないというコンプライアンスの穴になっていった。
- ・旧試薬管理システムでは、試薬の化学構造式は管理しておらず、代わりにCAS番号と、試薬ベンダーがカタログと共に提供していた法規制情報を登録するという運用だった。しかしCAS番号や法規制情報の登録を必須入力としていなかったことに加え、登録作業を試薬購入者に任せていたため、いつしか試薬のCAS番号や、法規制・SDS情報の登録も省略され、試薬担当者も交代により運用が変わってしまうなど、次第にコンプライアンス対応できているとは言い難い状況になっていた
- ・更に、旧試薬管理システムでは、試薬のマスターではなくビンごとに管理をしていたため、全く同じ物質の試薬のビンであっても、所有者の違いにより登録されている法規制情報が明らかに違っていることもあった。
CTCLSからの事例を示した情報提供が刺さり、化学構造式に基づく法規制チェックの仕組みを検討することになった
- ・旧試薬管理システムのリリースから約10年後、CTCLSから事例の紹介を受けた。
それは、危険ドラッグの乱用などの社会問題を背景に規制化学物質が急増しており、もはや研究者の知見や試薬カタログ情報に頼ったコンプライアンスには限界があることから、先発メーカーが相次いでRegSys/RAKTISを導入しているというもので、構造式をベースとしたコンプライアンス対策が重要だと気付かされることとなった。 - ・CTCLSからの継続した情報提供により、徐々に現状から脱却し、新しいコンプライアンス対策の仕組みが必要と考えるようになった。
導入製品を選択した理由
RegSys/RAKTISの豊富な利用実績とCTCLSの真摯な技術支援に、絶対的な安心感があった
- ・RegSys/RAKTISは、常に最新の法令に基づく化学構造式情報による法規制チェックができるため、旧試薬管理システム(CAS番号と試薬ベンダーが提供する法規制情報)による法規制チェックを遥かに上回るコンプライアンス対策ができると考えた。
- ・何度かCTCLSが開催したコンプライアンスセミナーに参加して他社事例を知ることで、化学構造式を考慮しない試薬管理では完全なコンプライアンスができているとは言えなく、化学構造式に基づいた法規制チェックが必須だという考えに確信を持つようになった。
- ・RegSysは、標準で法規制情報の辞書を格納しているため、頻繁な法改正にも対応できると考えた。
- ・過去にサービス提供を受けた他社ベンダーの場合、機能追加の要望をしてもしばらく連絡がないなど、対応の遅れが業務に支障をきたすこともあった。しかし、CTCLSは、遠隔地のお客様にも迅速な対応ができるよう工夫が見られ、作業依頼をすれば、沢井の検証環境にリモート接続して即日対応してもらうことができた。このような姿勢は、CTCLSを選定した大きな理由の1つだった。
デザインこそシンプルだがシステムの基礎がしっかりと安定しているので、自社業務に合わせたカスタマイズにも対応できた
- ・同時期に沢井が国際会計基準に準拠していくことが決定し、購買システムからの試薬発注や、在庫管理までを2016年4月より運用開始することが前提条件だった。RAKTISは購買管理システムとの連動が可能という点から基準を満たしていた。
- ・2015年10月にシステム構築を開始し、2016年3月末に完了という短期間導入に対応できたのが、RegSys/RAKTISだけだった。
- ・スクラッチ開発のシステムよりも、パッケージ製品であるRAKTISをベースに、沢井に必要な機能を部分的にカスタマイズして対応できる点が、コストと時間短縮の上でメリットが大きかった。
- ・RegSys/RAKTISは、指定数量計算の機能とメール通知機能をカスタマイズにより、厳格な消防法への対応にも耐えうるシステムだった。
導入のポイント
化学物質のコンプライアンスに、化学構造式を見る重要性を根強く訴えてきた
- ・先ず危険物管理責任者に相談を持ちかけて、旧試薬管理システムを廃止し、化学構造式に基づくコンプライアンス対応のシステム導入について合意を得てから、社内関係者にも合意形成を進めていった。最初に化学物質のコンプライアンス対応のキーマンを巻き込めたことが成功の大きな要因だった。
- ・コーポレート部門への説得や、現場の研究者のアンケート実施、月例報告会での発表などにおいて、社内関係者に対してコンプライアンスにおいて化学構造式を確認することが必要だと訴えて、地道な啓蒙活動をした。
- ・2016年4月に、国際会計基準への準拠を第一優先にした運用を開始し、半年後に危険物持ち込みによるアラート機能を付加するといった、段階的リリースが、無理のない運用を定着させるうえで効果的だった。
過去に運用で苦労した経験を生かし、RegSys/RAKTISは現場の要望を取り入れた運用策定に注力した
- ・運用策定時に、ユーザーとなる試薬管理委員と試薬管理担当者にも会議に参加してもらい、実際のRAKTISの画面を参照して操作しているところをイメージしてもらいながら機能と運用を詰めていった。
- ・運用開始前には、CTCLSがユーザー向けにトレーニングを実施した。その様子を動画に収め、以降行われるトレーニングには、その動画コンテンツを用いて教育の質を一定に保った。
- ・各部署の試薬担当者には、自部署に対しては責任を持った教育実施を徹底してもらった。また、継続した運用定着を図るため、新入社員配属時や担当者変更時には教育を必ず行うようにし、世代交代による意識レベルの低下を防ぐようにした。
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- RegSys/RAKTISを導入する前には、旧試薬管理システムも動いていたので現状維持も考えたが、あのとき一念発起して、システムを刷新して本当に良かった。我々が、全ての法令の文章を読み解き、構造式に起こしてから法規制チェックするのは、時間と労力が掛かりすぎるので、RegSysなくしては化学物質のコンプライアンスは到底無理だった。対応できて当たり前のことが、これを日常的に継続できているのは素晴らしい。
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生物研究部 生化学グループ
グループマネージャー - 田中 祥之 様
RegSys/RAKTISで、長年懸案だった試薬のコンプライアンス対策の課題が解消
- ・研究者全員にRAKTISのライセンスを配布した。異なる拠点間にある試薬も集中管理できるようになった。
- ・購買システムと連動することによって、試薬の発注・購入・在庫管理まで一連のフローが統制されるようになった。
- ・RegSysは、各部署の試薬管理委員とマネージャーが代表して使っているが、購入原薬を最初に登録することが多い物性グループの合成担当には、全員にライセンスを配布して使えるようにした。
- ・試薬購入の依頼を受けた試薬管理委員は、先ず試薬の構造式を調べるようにしている。その後RAKTISに購入試薬を本登録してから、RegSysで法規制チェックして問題がなければ発注している。このように、試薬管理委員とRegSysの二重による法規制チェックで問題がないものだけを購入するようにしている。
- ・試薬マスターを見れば法規制チェックの結果が見れるので、コンプライアンス対応の状況が把握できるようになった。以前のように、部署や試薬ビンごとに登録されている法規制情報に差異が生まれるということも無くなった。法規制チェックのログが残るので履歴の管理もできるのが良い。
- ・RegSysの辞書は、随時最新の法令に更新され、解釈の難しい類縁化合物も網羅されているので、法規制チェック業務を大いに支援してくれている。
- ・旧試薬管理システムで行っていた試薬カタログの手入力がなくなり、ボタン一つで化学構造式に基づいた法規制チェックができるようになったため、大幅な省力化が実現できた。
- ・自社製品を輸出入する際に、積載しても問題がないかどうかRegSysの辞書に搭載されている航空法と照合させることで、事前のチェックツールとして利用できている。
- ・動画を用いたトレーニングを実施したが、基本はそれを見て自分で使ってみればすぐに使えるようになっておりスムーズに運用開始できた。特に複雑な操作ではなく、毎回その動画を見ないと使えないといったことは起きていない。
沢井の特殊事情に合わせた追加機能が、管理者と現場の研究者共に快適な運用を支えている
- ・RAKTISの標準機能にある指定数量計算に加え、実験居室で使用する有機溶媒をハンディターミナルで読み込もうとしたときに、指定数量を一時的にでもオーバーしそうになったらメールが飛ぶ機能を追加した。この追加機能により、居室まで行かずに確認できるようになった。
- ・導入後の約一年間で、3回ほど追加機能をリリースした。旧試薬管理システムでは、機能追加の度に数日間システムを停止しなければならず業務に支障をきたすこともあったが、RegSys/RAKTISでは夜間に数時間止めるだけで済むため業務影響はほとんどなくなった。
今後の展開
導入時のフレッシュさを忘れず、運用をいかに崩さず維持していくかをとことん追求したい
- ・世代交代による運用の綻びを防止するため、試薬のコンプライアンス対応を担当者に全て委ねるのではなく、管理者サイドで運用が徹底されているか継続的に注視し、定期的に運用の見直しも検討していく。
- ・新人配属時などの教育訓練も、動画コンテンツを活用して同様の品質で、漏れなく実施していく。
- ・いずれはGMP対応が求められる物性分析業務で電子実験ノートを導入し、RegSys/RAKTISと連携させ、よりコンプライアンス対応を効率化させるシステムを構築したい。
CTCLSには、これからも最先端の製薬業界のITトレンドや事例の情報提供に期待している
- ・CTCLSは、今回導入したRegSys/RAKTISを始め、活用事例と共に様々な有用な製品を紹介してくれるので、課題解決や新たな取り組みを検討するにあたって非常にありがたい存在。
- ・近年、多岐にわたる提案をいただけるCTCLSは、些細なことでも相談できる信頼できるパートナーとなった。今後も、国内外の製薬業界のITトレンドや導入事例の提供を通じて、沢井に新しい風を吹かせ続けて欲しい。
導入企業様の情報
沢井製薬株式会社
- 本社住所
- 〒532-0003
大阪市淀川区宮原5丁目2-30 - URL
- http://www.sawai.co.jp/
※部署名、役職名、その他データは、取材時(2016年12月21日)当時のものです。