【自社解析事例】日本の英語学習法のトレンド<パート2>

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2021.03.26

CTC3名のデータサイエンティストによるAIを用いたテキスト解析事例「日本の英語学習法のトレンド」<パート1>の分析で得られた英語学習のトレンドをおさらいします。

  • 勉強のモチベーションアップにSNSが利用されてきている
  • 通勤電車の時間を英語学習に利用している
  • 毎朝3時間勉強するや英単語を25個覚えるなど、1日の目標設定値を決めている学習者が多い
  • 英語学習を朝活の一つとして組み入れている
  • 働き方改革やコロナ禍によるテレワークにより、就業前や家事の時間を英語学習に活用しやすくなってきている

そこで<パート2>では、もっと分析を進めていき、毎日楽しみながら継続できそうな英語学習法を探ってみます。

日常の些細なことを綴る英語日記なら毎日続けられる!?

過去1年間(2020年2月~2021年1月)の英語学習に関する、日本語記事やSNS投稿情報から集めた分析用データセット約15000件を、Quidで分類したネットワークマップに戻り、次に興味あるポイントを探索します。

<パート1>で分析の対象とした「朝,積み上げ,毎日」の右上に、比較的小さなクラスター「英会話,表現,日記,ブログ,フレーズ」が形成されています。その日にあった出来事を綴る「日記」は、一見すると「朝」と対極なものです。しかし、毎日継続する点では共通しているためか、Quidはこれらの内容が類似していると判断したようです。

パート1「朝,積み上げ,毎日」の右上

英会話で用いられる表現やフレーズをブログに日記として記事を投稿していく「英語日記」は、日常の些細なことをコンテンツとして作成できるので、続けやすい学習法なのでしょう。

これをヒントに、キーワード「英語学習 ブログ」でインターネット検索をすると、実に多くの方が、英語でブログを綴っていることが分かります。またQuidがピックアップした情報のように、ブログ仲間を募集している投稿者もいました(下図赤枠)。従来、日記は自分だけのもので人に見せるものではないと考えられていました。しかし現代では、ブログに投稿される日記はシェアされる前提であり、コメントなど投稿が生むコミュニケーションもまた、学習へのモチベーションアップに繋がっているのでしょう。「英語日記」は、それを英語学習に応用しているケースと考えられます。

ブログ仲間を募集している投稿者

また日本国内にいると、「話す・書く」というアウトプットよりも、「読む・聞く」というインプットの機会が多くなってしまいます。そのため英語日記には、書くことを通じて意識的にアウトプットを増やすという、学習者の姿勢が表れているようです。

せっかく選ぶなら興味を持てる楽しいリスニング教材を選ぶ!

次にネットワークマップの反対側に目を移すと、「海外ドラマ,字幕,映画,フレーズ,アニメ」と「動画,字幕,リスニング」という大きなクラスターが形成されていました。この2つの名称を見ただけで、海外ドラマや映画、アニメの動画をリスニング教材として使用し、字幕をチェックしながら英語フレーズを学習していることが直感的に分かります。

このクラスターの名称にピックアップされているキーワードの関連性から、洞察(インサイト)をもたらされる点が、Quidの特長です。

クラスターの名称にピックアップされているキーワードの関連性

これらクラスターの名称から、トレンドの輪郭を掴めました。続いて各クラスターを拡大し、詳細を見ていくというプロセスはQuidによる分析の定石であることは、もはや皆様はご理解いただいていることでしょう。

「海外ドラマ,字幕,映画,フレーズ,アニメ」に含まれる情報を見ると、どれも海外ドラマ、映画、アニメを使用するのは「楽しめる」というのが一番の理由であることが分かります。また字幕については、英語と日本語の切り替えを簡便に行える配信媒体が重視されているようです(下図)。

「Netflix」を活用した英語学習に関する投稿

このクラスターから「Netflix」を活用した英語学習に関する投稿を発見しました(上図の赤枠)。そこでNetflixについてより詳しい情報を得たいと考えたため、ここでインターネット検索と併用することにしました。検索するとNetflix社公式サイトなどで情報が得られました。

Netflixを見る様子

次に「英語学習 Netflix」とキーワードを追加してインターネット検索すると、Netflixで英語学習するためのおすすめ海外ドラマを紹介したサイトがヒットし、具体的にどのようなドラマを見ると英語学習に役立つか情報を得ることができました。

英語学習に役立つドラマの検索結果

このように、Quidが把握したトレンドに含まれるキーワードをピックアップし、それらについてインターネット検索を併用し、情報を深堀するというのは、Quid利用者のスタンダードなアプローチです。インターネット検索だけで英語学習のトレンドを探ろうとすると、この「Netflix」というキーワードを発掘するのは困難でした。しかし、Quidで全体像を把握してから、尖った情報を見つけ出し、Quidがサジェストした検索キーワードでインターネット検索すると、これまでと違った切り口で情報が得られます。

言い換えれば、情報を探す切り口=洞察(インサイト)となるのです。

今回の事例では、Netflixという一般的に良く知られたキーワードを用いて解説しましたが、例えば製薬や製造業のような研究開発で新規テーマの探索にQuidを用いた場合、初見のキーワードが多数見つかることがあります。そして、このようなキーワードをQuidで見出してから、論文検索するなどと応用することができます。

次に、内容が類似しているクラスター「動画,字幕,リスニング」についても念のため見てみましたが、前述の「海外ドラマ,字幕,映画,フレーズ,アニメ」クラスターに含まれる投稿と非常に類似していました。このように内容が類似した大きなクラスターが2つ見つかったことからも、主要なトレンドと判断することができます。

Youtubeでの英語学習がはかどるGoogle Chrome拡張機能

上図を眺めていたところ「Youtubeでの英語学習がはかどるGoogle Chrome拡張機能」という情報が目につきました。そこでソースを辿ったところ「Learning Language with YouTube(LLY)」というツールを知ることができました。
(引用:https://www.lifehacker.jp/2020/06/lht_learning-language-with-youtube.html

そして前述のプロセス繰り返しになりますが「Learning Language with YouTube(LLY)」でインターネット検索して情報を得ていくうちに、英語学習に関するトレンド情報がどんどん蓄積されてきたことに気づきます。

Youtube Extension - Now Online!

引用:
https://forum.languagelearningwithnetflix.com/t/youtube-extension-now-online/154

英語学習におけるデジタルテクノロジ―が気になってきた

これまでの分析により、英語学習に使用する動画やツール選びの大切さが分かってきたところで、次はデジタルテクノロジーに関するクラスターがないか興味が湧いてきました。探してみたところ、ネットワークの中に「アプリ,無料,ゲーム,配信,フレーズ」と「英会話,アプリ,オンライン」という、関連しそうなキーワードを持つクラスターがありました(下図の赤枠)。

関連しそうなキーワードを持つクラスター

ここで補足すると、Quidのネットワークマップを見ていく順番に正解はありません。分析者が興味あるポイントを優先的に見ていけばそれで間違いありません。Quidで膨大なテキスト情報を可視化したところで、どこに着目し、どの情報を深堀していくかは、分析者の視点により差異が生まれるのは当然です。そのため、複数の分析者がそれぞれ同じネットワークマップを眺めながら、「このクラスターを先ず見てみよう。」「ここを見たら次はこのクラスターを見てみよう。」「時系列でどのようにトレンドが変化しているか。」などと意見を出し合うことで視野を広がっていくため、有意義な分析の進め方です。

分析の事例に戻ります。クラスター「アプリ,無料,ゲーム,配信,フレーズ」の内容を詳しくみたところ、便利な英語学習用のアプリ名称を拾うことができました。英語の資格試験、英単語の学習、英会話など目的別に様々なアプリが提供されています。しかし特徴的なのは、英語のゲームアプリで学習する投稿が多かったことから、ここでも楽しみながら毎日続けられるためのアプリ選びに凝っている学習者が多いことがうかがえます。

英語のゲームアプリで学習する投稿

「英会話,アプリ,オンライン」のクラスターでも、様々なアプリ名称を見つけることができました。

「英会話,アプリ,オンライン」のクラスター

次のクラスター「オンライン,レッスン,スクール,フレーズ」の結果と総合して考察したところ、コロナ禍による在宅が相まって英会話のオンラインが定番化しているようです。

在宅勤務で終業後、オンライン英会話であればすぐに参加することが可能なのがメリットですが、これもまたニューノーマル時代がもたらした学習機会の増大と考察できるでしょう。

「オンライン,レッスン,スクール,フレーズ」の結果と総合して考察

今回の分析で、英語学習者は毎日継続する大切さを理解したうえで、楽しみながらリスニングの教材やツール選びへの拘りを見ることができました。また一人の英語学習者としては、Quidがサジェストする様々な可能性を一望することで、自分に合った学習方法を組み立てるうえで大いに役立ちました。

例として「朝が苦手・ほぼ毎日在宅勤務・長時間の動画を見ていると疲れてしまう」というデータサイエンティスト1名は、下記の学習方法なら継続できるのではないかとヒントが得られました。

「毎晩の業務終了後、無料で視聴できる10分程度の動画字幕を使って、その日に知り得た英語フレーズをお気に入りの手帳(SNS投稿は恥ずかしいから・・・)にメモする。そして週末のオンライン英会話で実践してみる。」

英語学習の様子

さて次回は、グローバル化やデジタル化の加速を受けて、最新の日本の英語教育を分析した結果をご紹介します。(その結果、聞きなれないキーワードを見つけることができました!)

<パート3>に続く

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