イベントレポート2016/10/18
第10回 IDBS日本ユーザー会 総会
CTCライフサイエンス株式会社(以下、CTCLS)とID Business Solutions Ltd.(以下、IDBS社)は、2016年10月18日(火)、東京都千代田区のフクラシア東京ステーションで「第10回 IDBS日本ユーザー会 総会(以下、IJUM)」を開催しました。
IJUMは、IDBS社製品のユーザー様向けに開催している、同社製品の利用度向上や機能改良を目的とした情報交換の場です。1990年代に、CTCLSが国内でIDBS社HTS(ハイスループットスクリーニング)データ管理システム「ActivityBase」の取扱いを開始して以来、毎回ユーザー様に主導していただきIJUMが運営・開催されてきました。第10回IJUMでは、ユーザー役員の第一三共株式会社 塚本晋策様、田辺三菱製薬株式会社 奥脇経介様を中心に、ユーザー様から頂戴したご意見をもとにアジェンダを構成しました。
IDBS社がActivityBaseに加え、2008年頃よりnon-HTSデータ管理システムや電子実験ノートのビジネスに参入して以降、国内でも製薬会社の生物評価系試験全般に及ぶデータ管理への関心が高まり、今回も多数のユーザー様が参加され盛況のうちに終了しました。今回は、招待講演に中外製薬株式会社様による生物系電子実験ノートシステム「E-WorkBook」の導入事例をお話いただき、大きな注目を集めました。また、IDBS社とユーザー様が直接議論するワークショップもアジェンダに組み込まれており、有意義な意見交換が行われるなど、濃密なイベントとなりました。
アジェンダ
時間 | 内容 | 講演者 |
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10:00-10:10 | 開会の挨拶 | IJUM役員: 第一三共株式会社 塚本晋策樣、 田辺三菱製薬株式会社 奥脇経介樣、 /CTCLS |
10:10-10:40 | IDBS製品ロードマップ | IDBS社 |
10:40-11:20 | 中外製薬における電子実験ノートE-WorkBook導入展開事例の紹介(仮題) | 中外製薬株式会社 研究本部 創薬企画推進部 副部長 IMITG グループマネージャー 高谷 弘樹 樣 |
11:20-11:50 | EWB10.1.2 デモ紹介 | CTCLS |
時間 | 内容 | 時間 | 内容 |
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13:10-13:50 | 【ディスカッション① 電子実験ノート導入に向けて】 電子実験ノート導入時の課題とその解決 座長:導入済み企業様を予定 -よくある課題とその解決案のディスカッション |
13:10-13:40 | ActivityBase(XE)ロードマップ/今後の要望 ・新バージョンの紹介 ・海外のトレンド(XEの活用事例) |
13:50-14:30 | 【ディスカッション② 電子実験ノート導入後について】 導入済み企業樣における今後の展開 座長:導入済み企業樣を予定 -導入後の課題と解決案のディスカッション -導入後のメリット |
13:40-14:10 | ActivityBaseと外部研究データとの連携 ・スクリーニングを外部に委託した際のデータ連携 ・XE Stand Alone(XEのツールだけを配信する事が可能) |
14:30-14:50 | 休憩 | 14:10-14:40 | 休憩 |
14:50-15:30 | IDBSセッション① 電子実験ノートに関わる最新情報のアップデート -海外導入事例とそのROI -トータルソリューション:電子実験ノートと周辺システム -Labの将来像と現状 |
14:40-17:10 | ディスカッション ・各社運用状況の共有 -トレンド、外部機関との情報連携 ・Tips機能 -新機能紹介 -Reporterの活用 -SpotFireとのシームレスな連携をアピール ・ラップアップ |
15:30-16:00 | CTCLSセッション① 共同研究における情報共有の課題とIDBソリューション |
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16:00-16:10 | 休憩 | ||
16:10-16:40 | IDBSセッション② 電子実験ノートに関わる最新情報のアップデート |
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16:40-17:10 | CTCLSセッション② WebクライアントとSpreadsheet機能 |
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E-WorkBookハンズオンセッション | ActivityBase(XE)ハンズオンまたはデモ | ||
IJUMの今後の運営について -運営方針の確認 -役員の選出 |
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18:20-20:00 | 懇親会(参加費無料) |
サマリー
- <午前の部>
- ユーザー役員の第一三共株式会社 塚本晋策様、田辺三菱製薬株式会社 奥脇経介様からの開会の挨拶により、第10回IJUMが始まりました。
最初にIDBS社の製品開発責任者が、既存製品のActivityBase及びHTS/HCS専用解析モジュールActivityBase XE(以下、ActivityBase(XE))やE-WorkBookのマーケットシェア始め、新製品の開発状況・ロードマップについて発表しました。
近年、創薬研究開発業務で生成した実験情報を外部共同研究先と情報共有する機会が増え、実験に用いるサンプル資材の品質担保・コンプライアンス対応が必要となるなど、実験データの可用性や適正記録に求められる要件が多様化しています。また、データをやり取り・記録する機会増加に伴う、研究者の負担も大きく、その業務負荷が課題になっていました。そうした中、IDBS社は、電子実験ノートシステムE-WorkBookを起点とし、外部とのコラボレーションやサンプル管理にも対応できるプラットフォームとして、共同研究支援プラットフォーム「E-WorkBook Connect」やサンプル管理システム「E-WorkBook Inventory」を新規に開発、リリースしました。
E-WorkBookのWebバージョンは既に提供開始しており、場所や端末を選ばずWebブラウザー上で即座にアクセスできるため、これら新製品との親和性は高く、スマート・ラボ化に向けて、より製品ラインナップが充実してきています。
E-WorkBook Connect画面
E-WorkBook Inventory画面
中外製薬株式会社(以下、中外製薬) 研究本部 創薬企画推進部 IMITグループ グループマネージャーの高谷 弘樹様には、中外製薬における電子実験ノートE-WorkBookの生物系研究部署への導入および展開に関する取り組み事例についてご講演いただきました。
本ご講演では、中外製薬が電子実験ノート導入の構想段階から現状分析、導入プロジェクト、本格稼働に至るまでの各過程で、精力的に取り組んできた、社内への働きかけや課題抽出とその解決策の実行について、詳しくお話いただきました。中でも、多種多様で複雑な生物評価系試験のデータ管理においてリーズナブルな対応をするため、対象部署の特性や運用課題に応じた柔軟な導入アプローチが印象に残りました。
将来的には、E-WorkBook Webクライアントへの移行やサンプル管理・試験管理システムなど周辺システムとの連携も視野に入れており、更なる業務効率化に向けて、中外製薬の生物系研究業務はE-WorkBookを基盤とした電子化を進めていくと締めくくりました。
本ご講演は、今後本格的にE-WorkBookの導入を検討している製薬企業にとって大変参考になる、興味深い内容でした。
事例講演で登壇された中外製薬株式会社 高谷 弘樹 様
午前の部最後の発表では、CTCLSからE-WorkBook 10.1.2のWebクライアントのデモを披露しました。
E-WorkBook Webクライアントは、研究者にとって見やすく、わかりやすさ抜群の洗練されたインターフェースを持ち、スマホやタブレットでのタッピングに最適な画面レイアウトを特長としています。
デモでは、Webブラウザーから起動・ログインし、E-WorkBookシッククライアントと同様、ファイルをドラッグ&ドロップで簡単に文書や画像など追加し、自由にノート画面を作成する一連の操作を紹介しました。Webブラウザーに対応したE-WorkBookは圧倒的に動作レスポンスが速くなり、将来のスマート・ラボ化を見据えたモバイル端末での利用が可能になるなど、注目度が急速に高まっています。
E-WorkBook 10.1.2のWebクライアント画面
デモを担当したCTCLS 都築 なつみ
- <午後の部>
- 午後の部は、ユーザー様が「E-WorkBookセッション」と「ActivityBaseセッション」の2つに分かれ、ユーザー様への事前アンケートで、それぞれの製品について興味がある話題を取り上げ、各社の状況など掘り下げた内容まで議論が活発に行われました。
E-WorkBookセッションでは、化学系業務に比べると、国内では生物系業務には電子実験ノートの普及が途上ともいえるため、同業務への電子実験ノートの導入における様々な課題に焦点を当て、議論が繰り広げられました。先ずIDBS社から、導入時の目標として設定されることの多いROIについて海外事例や、ROI以外にはデータ品質の向上など定性的効果を目標とすることも重要と問題提起しました。
また、E-WorkBookを導入済みのユーザー様が、導入を検討中であるユーザー様から質問を受け直接回答するなど、各社における現場の巻き込み方や説得材料を模索するようなやり取りが行われ、国内製薬企業において生物系業務への電子実験ノート導入が本格的に検討されてきていることがうかがえました。
CTCLSからは、E-WorkBook ConnectやE-WorkBook WebクライアントのSpreadsheetについて、詳細な説明をしました。E-WorkBook Connectにはプロジェクト・タスク管理などセキュリティやステータスの管理機能が充実しており、外部機関との共同研究やCROへの委託試験データ授受において利便性の向上が大いに期待できます。更に、E-WorkBook WebクライアントのSpreadsheetでは、従来の機能がWebブラウザー上で動くだけでなく、フリーレイアウトによるテーブルやグラフ表示が可能になるなど新機能も盛り込まれています。
ActivityBaseセッションでは、先ずIDBS社から海外のHTS業務のマーケットトレンド、そししてそれに対応するActivityBase(XE)の開発ロードマップや今後の展望について発表がありました。
海外メガファーマでは、HTS業務の規模拡大に伴い、アウトソーシングの活用がますます進んでいます。これを背景に、CROのビジネスが成長しています。大量のデータを取り扱う同業務をCROなど外部組織に委託する機会が増えることで、ActivityBase(XE)を外部組織にも利用させたいというニーズが高まりました。そこで、IDBS社はクラウド基盤IDBS Connect上でActivityBase(XE)をSaaS型で利用できる仕組みを提供しており、時代のニーズにマッチしたソリューション提供に力を入れています。
またディスカッションでは、長年に渡りActivityBase(XE)をお使いいただいているユーザー様ならではの、XE Template作成時の課題や解決方法、テンプレートの維持管理など、業務に即した質問が相次ぎ、ユーザー様が個々に蓄積されているノウハウについて濃密な情報交換が行われました。また、HCSやトランスレーショナルリサーチなど、新たなスクリーニング手法に目を向ける製薬企業も多く、これらのスクリーニングデータをActivityBase(XE)で管理するためのアイデアについても意見交換が行われ、大変有意義なセッションとなりました。
午後の分科会セッションの風景
- <懇親会>
- ユーザー様、IDBS社、CTCLS間で互いに懇親を深めました。
関連ページ
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導入事例:中外製薬株式会社「生物系業務への電子実験ノート導入で、
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- IDBS社E-WorkBook Suite(電子実験ノートシステム)
- IDBS社 BioBook(生物評価系試験向け多次元スプレッドシート)
- 生物系電子実験ノートソリューション
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※部署名、役職名、その他データは、イベント開催当時のものです。