前回、ヘアケア成分の原料市場の推移を分析したところ、年代ごとに消費者ニーズに応えるためのヘアケア成分を開発・製造や、サービスを提供する企業が設立されていることが分かりました。
そこで、今回もAIを用いたテキスト解析エンジンQuidで、ヘアケア成分市場に存在する企業の、投資や買収の状況を分析します。
Quidには、分析用の標準企業データベースがあります。このデータベースを活用することで、企業が投資額の情報が収載されています。またヘアケア市場内における企業のM&Aの状況も把握できます。
先ず投資状況から分かったことは、投資家がヘアケア企業に投資しているのは最大でも3社だったことから、盛んに投資が行われている市場ではないということでした。一方、ヘアケア企業間でのM&Aの状況はというと、老舗の大手ヘアケアブランド企業は累積で5~6社買収した実績があるなど、頻繁に買収が行われていることが分かりました。これは、時代と共に消費者ニーズが著しく変化する業界であるがゆえに、特定の分野にスペシャリティを持つ企業を買収することで、タイムリーに消費者ニーズに応えていく企業戦略を反映していると考えられます。
また前回用いたヘアケア原料市場の526社のデータセットの分類結果を、視点を変えてビジュアライズしてみると、ヘアケア成分の分野(クラスター)ごとに市場の成熟度が考察できました。
下図は、ヘアケア成分の各クラスターに属する企業の設立年中央値を横軸に、それぞれのクラスターに属する企業が投資を受けた額合計値を縦軸にプロットしています。
図:AIでヘアケア成分のクラスターの市場成熟度を分析
投資額の高さから、「医療ヘアケア」-医薬品や医療目的でヘアケアブランドを開発・提供した企業が最も投資を受けていることが示されています。属している企業数も比較的少ないことから、市場は成熟しておらず、今後も成長が見込める分野と考えられます。
また「化学物質、添加剤」「フレーバー、香料」の研究開発、製造に携わる企業の設立年は1970~1980年代に集中していることから、今後はこの分野に新規に参入する企業は多くないと推測されます。
「オンライン美容販売」業者と「天然成分」を開発している企業は、比較的最近設立されていることから、若い市場といったことが読み取れます。。
この事例のように、商品企画や事業戦略の立案担当者は、時系列で注目を浴びている分野や、企業の設立年や投資を受けた額に着目することで、将来自社が進むべき方向性を決定づける、ヒントが得られます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事は次回へと続きます。パート6もご期待ください。(sales-quid@ctc-g.co.jp)。