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2018年11月2日(金)、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は、CTCがグランドプリンスホテル新高輪国際館パミール(東京都港区)で「CTC Forum 2018」を開催しました。
CTC Forumは、CTCが全社で開催する毎年恒例のイベントです。IT投資の変換を進めているあらゆる業界・業態のお客様に向けて、ユーザー事例などマーケットトレンドやテクノロジートレンドを主体に情報発信し、信頼できるパートナーとしてCTCをご理解いただく場としています。今年のCTC Forum 2018は、「デジタルテクノロジーを使いこなす」をテーマに、7個のビジネスカテゴリー(①新規ビジネス・サービス、②既存ビジネスを刷新、③社内業務を刷新、④働き方を刷新、⑤グローバル、⑥GDPR対応、⑦デジタル化)と11個のテクノロジーカテゴリー(①AI、②IoT、③ビッグデータ、④ソーシャル、⑤モバイル、⑥クラウド、⑦AR/VR、⑧ロボティクス、⑨Xtech、⑩セキュリティ、⑪運用)でセミナー・展示を行いました。来場者は4,300名を超え、大盛況の内に幕を閉じました。
同イベントのブースにて、米国シリコンバレー発のAIを用いたテキスト情報解析プラットフォーム「Quid」を展示しました。AIブームが過熱していることも相まって、多くのお客様に興味を持ってブースに足をお運びいただき、Quidの魅力に触れていただきました。
そもそもQuidってなに?
Quidは、AIを用いたテキスト情報解析プラットフォームです。あらゆる業界・製品・文化に関するテキスト情報を読み解き、独自のビジュアライズ機能で視覚化、トレンドの俯瞰を可能にします。課題など特定のトピックに対する膨大な情報を読んでいるだけではイメージできなかった、全体像が掴めるようになります。これにより、ビジネス戦略に「新しい気づき」が得られ、誰も思いつかなかったアイデアを打ち出せ、またスピーディな意思決定ができるようになります。
皆さまが所属する企業で、新たなビジネス戦略を立てるときのことを思い浮かべてください。
例えば、メーカーではどのような新製品を開発するか、またサービスプロバイダーでは消費者を惹きつける新たなサービスが何になるかを考えるのではないでしょうか。このようなとき、先ず市場動向や競合企業が投資しているテクノロジー、既存サービスに対する消費者の声などリサーチが必要となります。リサーチする手段として、もっともお手軽なのはGoogleやYahooなどの検索エンジンによるキーワード検索です。しかし、インターネット上には、世界中で日々発生する大量の情報で溢れかえっています。そこから、特定の検索キーワードにヒットした膨大なテキスト情報を、人力で一つずつ読んでいくのは非常に時間を要することになります。また、テキスト情報を解釈する際に読み手のバイアスがかかることが多いため、客観的な動向把握は困難を極めるのではないでしょうか。
しかし、競争相手の他社に一歩先んじて、お客様の求める「製品やサービス」を生み出し市場に投入するためには、スピーディな市場分析に加え、情報に基づく客観的な意思決定が重要になります。
そこで、世の中に出回っている情報の80%以上がテキストということに着目し、迅速にテキスト解析技術を開発したのが、米国シリコンバレーに拠点を構えるQuid Inc,(以下、Quid社)です。その産物が、Quidです。Quidはクラウドサービスのため、お客様はインターネット接続可能なPCがあれば、すぐに利用することができます。
Quidはニュースやブログ、企業情報、特許情報、科学論文などの膨大なテキスト情報に対し、Quidに搭載されているAI(自然言語処理と独自のアルゴリズム)がテキストの意味を読み解き、独特のネットワークマップとして視覚化します。テキスト間の類似性も判断されているため、類似している情報同士を塊(クラスター)として分類するため、メジャーなトレンドを直感的に理解することができます。
ネットワークマップは、マウスでぐるぐる動かしてみることができます。全体を俯瞰してみたいときは縮小させたり、1つのトピックを掘り下げたいときは拡大させたりなど、直感に従ったアドホックな解析が行えます。
ネットワークマップの動きをご覧ください!
もちろんQuidは新規ビジネスの立案だけでなく、提携先や買収先の検討、既存サービスに対する消費者の声の分析など、さまざまシーンで活用することができます。
ブースの模様
終日賑いを見せたQuidの展示ブース
Quidのブースは、展示会場のAIエリア一角に構えていました。
AIが身近になった昨今、実業務への活用に向けて、多くのお客様がAIエリアに情報収集しに来られました。そこへQuidのブースに通りかかったお客様が、Quidの色鮮やかなネットワークマップに目がとまり、そのまま引き込まれるようにQuidの説明を聞き入ってくださった姿が印象的でした。
製薬・化粧品・自動車メーカーなどの製造業、通信業、建設業、小売業、公共公益業、コンサルティングファームなどさまざまな業種のお客様がQuidのブースに足をお運びいただきました。
Quidの画面をご覧になったお客様からは、次のようなコメントをいただきました。
既存のビジネスモデルを改革して、新たな活路を見出すところで大きな期待が寄せられていることが分かります。また、活用されず眠っている自社データを解析したいという要望も多くあがりました。これについては、 Quidは英語・日本語を含んだ多言語データを読み込んで分析可能なため、眠っているデータを迅速に業務活用できることを説明しました。
ケーススタディ:食文化のトレンド分析
ここでは今回のイベントで好評を博した、Quidのケーススタディの1つをご紹介します。解説は、Quid導入・運用コンサルタントである石橋が行います。
プロフィール
石橋 太郎
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
技術開発第2部 マーケティング課
2010年 旧CTCラボラトリーシステムズ株式会社入社。その後、国内製薬企業向けにバイオインフォマティクスを中心としたシステム構築プロジェクトを多数経験。2016年以降は同社内で人工知能(AI)に特化した市場調査に従事。また2017年に発足したライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)コンソーシアでは、創薬業務の効率化に向けたAIエンジン開発を推進。現在は、CTCにおけるQuidの導入・運用コンサルタントの第一任者として、お客様の課題解決に結びつく技術支援を精力的に行う。
これからご紹介するケーススタディの調査テーマは「食文化のトレンド分析」です。
Quidの検索画面で、食文化のトレンドに関するクエリを投げると、関連する世界中の情報を集め、自動的に分類され、カラフルなネットワークマップが表示されます。情報の分類ごとに色分けしてクラスターとして表示されています。
ファストフードのトレンドを見たいという場合、ファストフードのクラスターを拡大することで、詳細なトレンドを調べることができます。この例では、「ファストフードのサービス提供時間が長くなっていること」や「スパイシー(辛口)になっていること」といったトレンドを掴むことができました(上図の赤矢印)。更に、最近はファストフードにも健康志向が求められていることも分かりました。
食べ物をデリバリ―する様々な技術も分類されています。この情報は、飲食業にとって、メニューだけでなくお客様への食べ物の提供形態(場所や容器など)に改善の余地がないかという新たな気付きが得られることになります。このように、トレンド分析によって、サービス向上に繋がる施策を、あらゆる角度から検討できるようになります。
次にどのトピックについて、消費者が肯定的・否定的な感情を抱いた分析を行った結果がこちらです。「Top Restaurant(最高級レストラン)」や「Food festivals(食の祭典)」のクラスターは緑で表示されており、ほぼ肯定的な意見ばかりです(上図赤矢印)。しかし「food security(食の安全)」や「Sustainability and waste(環境志向や食品ロス)」については、発信する内容に注意しないと、否定的な意見を持たれるリスクが高いことが分かりました(上図青矢印)。このように、消費者の感情を揺さぶるトピックについても分析することができます。
最後に、ネットワークマップから散布図に切り替えてみました。各トピックについて、どのくらいTwitterなどソーシャルメディアやニュース媒体で話題になっているか、トレンドのボリュームを定量化して把握することができます。
このようにQuidの分析を通じて、ファストフード業界では「早く料理をお出しできることよりも、個人の嗜好に合わせた商品の提供や健康・環境に優しいこと」が重視される時代であると分かりました。消費者全般に、食の安全性やエコの意識が高まっているという気づきが得られ、新しいビジネス検討に大いに役立てることができたという事例です。
この事例はあくまでも一例です。Quidは、海外ではすでに多くの製造業や商社、小売業、金融業、情報通信業、サービス業などの企業が、戦略立案の必須ツールとして利用してきています。
Quid導入・運用コンサルタント
石橋 太郎
あなたの企業における課題や挑んでいきたいテーマとは何でしょうか?Quidは、あらゆる疑問に柔軟に答えることで、これまで突破口を見いだせなかったテーマに新たなインサイトを与えます。我々は、Quidの提供を通じて、多くの日本企業にブレイクスルーをもたらせるよう貢献していきたいです。
「情報を制する物は、世界を制する」
この孫子の兵法による名言は、現代ビジネスにも十分通じるものがあります。自社や競合他社、そしてお客様の情報をしっかりとリサーチし、確実に勝ちに行けるビジネスを見出すのが重要であると解釈できます。
Quid社によると、従来の市場調査やトレンド分析に行き詰まりを感じて、打開策を見つけようとQuidに辿りつく日本企業が増えているとのことです。この記事で、Quidのメリットをいち早くキャッチアップされた皆さまが、情報戦を制する1つのきっかけとなれば幸いです。
利用事例などQuidのより詳細情報を知りたいという方は、下記のお問合せフォームからご連絡ください。
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