第2回
トレーサビリティによるデータ品質の向上
原文:
https://www.idbs.com/blog/2017/02/increasing-data-quality-through-traceability/
R&Dデータが各部門で管理されている場合、システム間・研究者間・組織間でデータを移動させる際に、転記の誤りや不正確さが必然的に発生してしまいます。
これは明らかに問題ですよね?
データが複数のシステムに分散している場合、大元の情報に遡る手立てがなくなってしまうため、重要な情報が欠落していないか確認することさえ困難になります。これは開発プロセスの終盤には、ギャップを埋めるために、時には数カ月掛けて、極めて重要な実験を繰り返すなど、長期間にわたる調査をもたらします。
このような無駄な調査は、開発チームの集中力をそぎ、他の開発プロジェクトに掛けるリソースを減少させ、研究開発のパイプライン全体に悪影響を与えます。
他にも問題があります。データの部門管理は冗長性をもたらします。つまり、同じ情報が少なくとも2か所以上の別々の場所に格納されていることがよくあります。これらの情報に矛盾が見つかった場合には、もはや、どのバージョンが正しいのかが分からなくなります。
そこで、統合開発プラットフォームを運用することで、情報とマテリアルの両方に対してトレーサビリティが向上するので、こういった悩みから解放されるでしょう。
データの準備・処理・使用間のつながりを維持することにより、データ管理プラットフォームは、検索可能な系統樹を自動的に作成することができます。すべての処理段階の詳細を、同じシステム内に記録でき、1つの単位操作から別の単位操作までのマテリアルの進捗状況を追跡することができます。
これはトラブルシューティングにも役立ちます。特定のロットの薬剤または賦形剤で問題が見つかった場合、製剤担当者は使用された場所を迅速に特定し、影響を受けるすべての製剤バッチを特定することができます。
One platform, one single point of truth
情報にトレーサビリティが備わることで、サプライヤー変更に伴う問題をより早期に特定できるようになるなど、進行中の他の研究に影響を及ぼしかねない問題を、事前に是正または解決できる可能性が高まります。これは、表に出てこない、再作業や開発遅延にまつわる10,000ドルの節約に繋がります。
それだけではありません。開発プロセス全体を通じてGMP(Good Manufacturing Practice)の監査要件を適用することで、トレーサビリティが確保され、規制当局による査察対応が容易になります。
すべてのデータを1か所にまとめておくことで、データの整合性・完全性・トレーサビリティが保証されるようになるなんて、とてもシンプルなことではないでしょうか?
免責事項