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イベントレポート2018/01/18

CTC、第7回コンプライアンスセミナーを開催

セミナーの様子

2017年11月15日(水)、東京都千代田区のフクラシア東京ステーションで、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は、「第7回コンプライアンスセミナー」を開催しました。
同セミナーは、7年連続で毎年1回、化学物質の法規制対応にシステム利用をご検討されているお客様と、既に法規制対応のシステムをご導入されているユーザー向けに開催しているイベントです。ここでは、CTCが自社開発した、国内の化学物質に関する法令を辞書として搭載している「法規制化合物チェック支援システムRegSys」と「試薬管理システムRAKTIS」に関して、最新機能や事例を紹介しています。
今回は、新企画であるパネルディスカッションを設け、法規制対応におけるシステムの更なる有効活用に関する意見交換が行われました。
また、海外発のITトレンドを国内企業のお客様にお届けしたく、ライフサイエンス領域におけるAIソリューションも紹介し、大変ご好評をいただくことができました。

以下に、各発表の概要をレポートいたします。

法規制化合物チェック支援システムRegSys 最新情報紹介

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 流通・エンタープライズ事業グループ
ライフサイエンス事業部 技術開発部 技術第2課
松本 智気

技術開発部 技術第2課 松本 智気

CTCで、法規制化合物チェック支援システムRegSys の主管技術である松本より、RegSysの最新情報を紹介しました。

先ず、化学物質のコンプライアンスが強化されてきた背景と、それに伴う各社における課題について解説しました。私たちは普段、ニュースや新聞で、覚せい剤所持や危険ドラッグ氾濫に関する報道を目にする機会がありますが、これが昨今増加していることを身近に感じている方も多いはずです。このように化学物質を用いた犯罪増加に対し、行政側も対策をしなければならなく、覚せい剤や麻薬など指定薬物の法改正が頻繁に行われるようになり、規制物質の範囲が大幅に拡大し続けています。こうした規制強化は、製薬企業はもちろんのこと、化学物質を取り扱う化学品、試薬などの企業にとっても規制対策が重要になってきています。実際に、化学物質の法規制対応を実施している企業が増えてきていますが、まだ課題の残る運用を行われているケースが見受けられます。例えば、CAS番号や化合物名で法規制チェックしているため、「モルヒネのエーテル体」など、定義が汎用的な規制対象物質については、網羅的なチェックが行えていない点などが挙げられます。また過去に、一度の法改正で800件以上の規制物質が登録され、しかも通知から10日後に施行されるような事例もあったことから、常に最新の法令に基づく法規制チェックを行える体制作りは重要となります。

そこでCTCは2007年に、それら課題をITシステムで解決するRegSysを開発し、現在は製薬・化学・試薬・研究・教育など26社・機関(2017年11月15日発表当時)まで導入が拡がりました。

RegSysの最大の特長は、化学構造式を用いて最新の法令に対する法規制チェックが行えるという点です。また、化学物質を作り、使用するあらゆる場面で、適切なレベルによるコンプライアンスを支援します。例えば、合成計画段階では、製造禁止の法規制に限定してチェックを実施したり、試薬の購入段階では、保管方法に注意が必要な法規制に限定してチェックしたりすることが可能となります。対象とする法令には、パブリックコメントの段階の情報も辞書に登録されているため、これらについてもチェック対象とするかどうか選べるなど、きめ細かなレベル感を設定しての法規制チェックが行えます。

また、他システムとの連携に強い点もメリットです。例えば、電子実験ノートや試薬管理システムと連携させると、法規制チェックしてからでないと、合成や試薬購入など次の処理に進めないようなシステム上の制限をかけることで、更に徹底したコンプライアンス対応が実現します。

業務に化学物質を用いる研究者は、Webブラウザー上で対話形式により、化学構造式を入力すると該当する法規制チェックの結果が得られるというのが標準的な使用方法です。しかしそれだけでなく、管理者向けに、保有化合物や試薬など大量化合物を、一括して法規制チェックする機能も提供されています。ほか管理者機能には、エンドユーザーである全研究者のチェック結果を一覧表示させたり、過去の法令辞書の更新履歴がチェックできたりなど、管理者を支援する機能も充実しています。

このように、研究者と管理者の双方を支援する法規制チェックの機能により、企業全体としての強固なコンプライアンス体制が整備できるようになります。

CTCは保守サポートの一環として、法令辞書の配信を行っています。CTCは、官公庁などが公表している情報を定期的に確認しており、法改正公布時やパブリックコメント開始時には、辞書更新ファイルを作成し、RegSysのユーザーに配信しています。これまで研究者が時間を割いて、研究者自身知見に頼って法規制チェックしていたところを、システム利用によりコンプライアンス対応できる点は、企業におけるコンプライアンスレベルを平準化させることにも大きく貢献します。

試薬管理システムRAKTISのご紹介

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 流通・エンタープライズ事業グループ
ライフサイエンス事業部 技術開発部 技術第2課 課長
島 史絵

技術開発部 技術第2課 島 史絵

試薬管理システムRAKTISの開発者で、同製品の技術責任者を務める島より、最新機能を含めたRAKTISの製品紹介を行いました。

RAKTISは、化学物質の法規制チェックや試薬の保有者・所在の明確化など、コンプライアンス対応をコンセプトとして開発された試薬管理システムです。化学物質を取り扱う企業は、日常的にサプライヤーから試薬を購入しています。しかし、その購入する試薬が規制物質に該当していた場合、意図しない規制物質の不正所持していることになってしまいます。サプライヤーが販売時に、試薬に法規制情報を添付して販売しているケースもあります。しかし、それがCAS番号や品目による法規制チェックや古い法規制に基づくチェック結果では網羅性に欠けるため、コンプライアンスの観点から100%安全とは限りません。

そこで試薬を購入する前に、試薬を必ず化学構造式に起こし、法規制チェックを実施してから試薬を購入するという業務フローを根付かせることが、万全なコンプライアンス対策として重要となります。RAKTISは、その仕組みの中核となるシステムです。RAKTISの機能の一つに、購買システムとの連携があります。カスタマイズによりRAKTISは購買システムと連携でき、RAKTISによる法規制チェックをパスした試薬のみが、購買システムから発注が掛けられることになります。また購入後は試薬が、各拠点の研究者に試薬ビンがいきわたることになりますが、そこで構造式ラベル印刷ツール「Lapris」と併用することで、化学構造式を刷り込んだラベルを試薬ビンに貼ることができます。化学構造式を見て直感的に判断できる研究者にとって、これは利便性を大きく向上させることになります。また、消防法の倍数計算やPRTR集計など試薬を使用する場所に関わる規制対応まで、支援できる点もメリットです。

CTCは、RAKTIS開発当初から、化学系だけでなく生物系部門も含めた、部門を跨いだ全社レベルへ展開可能なシステムになることを見据えていました。そのため、RAKTISは化学系・生物系の研究者の両方にとって使いやすい操作性が特長です。RAKTISにログインした後、先ず試薬の検索が行われますが、化学構造式で検索したい合成者向けには構造検索機能を、CAS番号や品目名で検索したい生物系研究者向けにはテキスト検索を、最初から検索画面上に表示させるよう設定できます。このように、異なる部門の研究者が同一プラットフォームを用いて試薬の統合管理が実現します。

また合成研究者にとって、研究には試薬だけでなく自社合成中間体も用います。そこでRAKTISを自社化合物のデータベースとも連携させることで、検索時に試薬と自社化合物を同時に串刺し検索して、化合物を検索し、利用可否を確認できるという拡張性にも優れています。

更に昨今の生物系試薬の利用頻度が高まってきており、ユーザーからのこれらに対する試薬管理のニーズ高まりを受けて、生物系試薬にも対応可能となるデータモデルへと改良が施されました。2017年のバージョンアップでは、生物系試薬に特有のキット品の登録ができるようになり、一つの試薬に複数の構造式が紐づく試薬の登録・管理が可能になりました。また、来年リリース予定の次期バージョンでは、濃度除外条件の設定に関する利便性が向上しています。例えば、アジ化ナトリウムなどその化合物単体では毒物であっても、一定濃度以下の添加物として含まれていた場合は、毒物でないといった除外設定も可能になりました。これはユーザーからの要望も強く、優先度を検討した結果標準機能として反映しました。

このように、CTCは年1回のユーザー会などで寄せられた要望を汲み取り、今後もRAKTISも機能充実・改良を図っていきます。

図:RAKTIS次期バージョン Ver.5.1 新機能画面例

図:RAKTIS次期バージョン Ver.5.1 新機能画面例

事例紹介「コンプライアンス強化を支援する構造式による法規制チェックと化学物質管理~ 複数の導入企業のケースにみる対応範囲と手法」

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 流通・エンタープライズ事業グループ
ライフサイエンス事業部 技術開発部 技術第2課
松本 智気

本セッションでは、RegSysとRAKTISを実際に使用しているユーザーの事例から、以下4点のユースケースに絞り発表しました。

  1. コンプライアンス対応のためのシステム導入事例
  2. 試薬管理システム導入時の運用事例
  3. 特化則作業記録効率化の事例
  4. 消防法対策の事例

このイベントレポートでは、上記に挙げた最初の事例 「1.コンプライアンス対応のためのシステム導入事例」 についてのみ、詳細をご紹介いたします。

1.コンプライアンス対応のためのシステム導入事例

ある製薬企業では、下記の複数段階のステップを経てシステム導入を行い、最終的にRegSysを用いて、十分にコンプライアンス対応ができる体制を構築しました。

  1. 紙ベースで目視対応による法規制チェック
  2. 試薬検索システム + 規制物質データベースの導入
  3. ワークフローツールの導入
  4. RegSys・電子実験ノートの導入

(1)紙ベースでの目視対応による法規制チェック

概要図

最初は、法規制チェックの担当者をアサインし、その担当者が確認した法規制情報を研究者のいる研究室に紙で掲示していました。研究者はそのリストを目視で確認しながら、自身が扱っている化合物が規制対象物質に該当していないか各自チェックするという運用でした。しかし、これでは担当者の法規制チェックやリスト作成の負荷が掛かるばかりか、研究者の目視によるチェックでは網羅性に不安が残り、またチェックに対する強制力が掛からないことが課題となっていました。

(2)試薬検索システム + 規制物質データベースの導入

概要図

次に、研究員総出で規制物質の構造式をデータベース化することになりました。更に、使用・購入する試薬について、市販の試薬データベースも用意しました。この試薬データベースに、規制物質データベースの規制情報を定期的にマニュアルで反映するという運用になりました。このステップでは、規制情報が電子化されたことでアクセシビリティが改善したものの、まだ規制情報反映作業の煩雑さやチェック実施の強制力がないという課題が残っていました。

(3)ワークフローツールの導入

概要図

このステップでは、試薬データベースに規制情報を反映するところと、ワークフローツールを使用して自動化させることを実現しました。また自社化合物もデータベース化されたので、ここに規制情報を照合させるところもワークフローツールを使って行えるようになりました。しかし、自前による規制物質データベースだったため、法令改正の頻度が増すにつれ、担当者のメンテナンス負荷が増大していったという課題に加え、この時点でもまだ研究者のチェック実施の強制力を持たせることはできませんでした。

(4)RegSys・電子実験ノートの導入

概要図

そして、現在の運用(上図)へと至りました。先ずRegSysを導入することで、担当者は定期的な法規制情報の確認とデータベース整備の負荷から解放されました。そして、長年の懸案事項だった、チェックの強制力については、電子実験ノートや試薬管理システムと連携させることで、法規制チェックを行ってからでないと、次のステップ(合成や試薬購入)へと進めないよう制限を掛けられるようになったため、上記運用でようやくほぼ全ての課題が解消し、理想的なコンプライアンス対応の体制を組むことができました。

パネルディスカッション・特別質問会「ユーザー様代表をお招きしての特別質問会」

パネルディスカッション・特別質問会の様子

このセッションでは、パネラーにRegSysとRAKTISをご導入いただいている、田辺三菱製薬株式会社(以下、田辺三菱製薬) 創薬本部 創薬推進部 藤本 伸明様と沢井製薬株式会社 (以下、沢井製薬)生物研究部 生化学グループ グループマネージャー 田中 祥之様をお招きし、パネルディスカッションが行われました。当日参加されたお客様から質問をいただき、それに対し藤本様と田中様にご回答いただくという形式で進めました。

ここでは、試薬マスタのメンテナンス状況、また古い情報はどのように更新しているかなど)や、新しい社員が入社したときの教育方法など、RegSysとRAKTISの管理者を担当されている方ならではの、運用に関する具体的なご質問を多くいただくことができました。

また、化学系試薬だけでなく、抗体試薬についてのRAKTISへの構造式登録や法規制対応状況など、生物系試薬に関する質問も飛び交いました。これは昨今トレンドである抗体医薬品開発にまつわるものですが、化学系試薬にない、構造式情報の取扱いにおける難しさがうかがえました。また、添加剤や賦形剤まで広げた運用の疑問点についてもディスカッションが行われましたが、これは創薬部門だけでなくCMC部門までの展開した結果、浮上した新たな疑問であり、RegSysとRAKTISの運用範囲が拡大してきていることを実感できる質問内容でした。

最後に、田辺三菱製薬と沢井製薬におけるRegSysとRAKTIS導入の決め手および導入後に利用した感想について、藤本様と田中様よりコメントをいただきました。主なポイントとして、既存システムと連携が可能だった点や、各機能が直感的にGUIで操作できるという使いやすさ、数年以上運用して大きなトラブルが無く安定稼働していることなどを語っていただきました。

約30分間の当セッションは終始質問が途切れることがなく、活発な意見交換が行われ、盛況の内に終えることができました。

ライフサイエンス領域におけるAIソリューションの紹介

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 流通・エンタープライズ事業グループ
ライフサイエンス事業部 技術開発部 技術第1課
エキスパートエンジニア 尾上 淳史

技術開発部 技術第1課 尾上 淳史

ライフサイエンス分野のAI活用について検討する中心的メンバーである尾上より、ライフサイエンス及びヘルスケア分野におけるAI技術の動向やCTCが提供可能なAI関連ソリューションについて紹介しました。

現在、AI(人工知能)における第三次AIブームと言われています。背景にはビッグデータなどAIが利用できるデータの蓄積と、ハードウェアの計算処理速度が飛躍的に増加したことにより、ディープラーニングを実行するための環境が整ってきたことがあります。ディープラーニングによりAI自身がデータの特徴量を獲得できるようになり、人間では難しい分類や予測を高い精度で実現できるようになりました。そして、米国を中心に様々なアプリケーションを提供するAIベンチャーが生まれています。ヘルスケア分野でも近年急激にAIを活用したソフトウェアやサービスを提供するベンチャーが台頭しています。(https://www.cbinsights.com/research/artificial-intelligence-startups-healthcare/)また、全世界でAIへの投資額は右肩上がりで増加しているというデータもあります。米国のみ着目されがちな分野ですが、インドやイスラエルなどでも積極的な投資が行われています。

CTCでは、シリコンバレーに拠点を置くCTC AmericaにてAIベンチャーのリサーチを行っております。その中から私達ライフサイエンス事業部は皆様に有用なAIツール選定を進めており、特に「ビッグデータ解析・視覚化ツール」と「ビッグデータ検索・解析基盤(Enterprise Search)」に注目し、主に製薬企業向けにAIを活用したソリューション提案を進めているところです。(編集注:プレゼンテーションでは各ツールの画面キャプチャを交えて、ツールの利用例を説明しました。紙面の都合で詳細は割愛します。ご興味がございましたらCTCライフサイエンス事業部営業担当者にお問い合わせください)

次に、CTCが独自サービスとして展開可能なのが、チャットボットによるコールセンター支援「BellCloud AI for IVR」と「AI基盤ソリューションCTC Integrated AI Platform Stack (以下、CINAPS)」です。

BellCloud AI for Webselfは、ウェブサイト上に設置したフォームから入力された問合せ内容において、回答を自動検索して表示させることができるコールセンター支援サービスです。音声認識にも対応しています。また、チャットボットで解決しなかった問合せについては、有人チャネルが補完して回答することも可能です。有人が回答した結果はAIの教師データとして投入しAIを学習させます。

概要図

次に、CINAPSはCTC独自のAI基盤オールインワンソリューションで、2017年10月13日に提供開始しました(参考:プレスリリース AI開発のプロセスや技術を体系化、AI利用のハイブリッドクラウド「CTC Integrated AI Platform Stack」を提供開始)。CINAPSは、CTC Integrated AI Platform Stackの略で、データの準備・学習・アプリケーション開発など、AIに関するライフサイエンス全般に対する要件に対応した、AI活用のためのハイブリッドクライド環境です。最適なサーバ、ストレージ、運用ツール、AIフレームワークを選択し、検証済みとすることで、短期間でAI開発基盤を導入することを可能とします。また、お客様のご用件に応じ、オンプレミス・パブリッククラウドを選択いただけます。

CTC Integrated AI Platform Stackの構成図

図:CTC Integrated AI Platform Stackの構成図

※ 記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
※ 掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください
※ 部署名、役職名、その他データは、イベント開催当時のものです。