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  • 旭化成ファーマ株式会社

    電子実験ノートと法規制化合物チェックシステムの連携で、コンプライアンス強化と業務効率向上!

谷内 覚 様

旭化成ファーマ株式会社
医薬研究センター
合成化学研究部
主幹研究員
谷内 覚 様

化合物を取り扱う企業にとって、法規制対象物質の適正管理はコンプライアンスの最重要課題の一つです。旭化成ファーマでは、Accelrys Electronic Lab Notebook(電子実験ノート)とRegSysをシームレスに連携させることで、実験計画段階における法規制チェックの実施率を100%に引き上げ、コンプライアンスの強化を実現しました。また、電子実験ノートをプラットフォームとする将来的な研究情報の統合に向けて、大きな一歩を踏み出しました。

お客様の声

当社の安全活動時のマストアイテムとして、コンプライアンス強化に大いに役立ち、とても満足しています。


課題と効果

課題

  • 2009年にRegSysを導入し、所有化合物に対する法規制チェック体制を整えたが、新規に合成される化合物に対する法規制チェックの実施徹底が課題だった。
  • 法規制対象化合物に対する知識には個人差があるため、人に依存した法規制対応では万全ではなく、誤って法規制対象化合物を合成してしまうことを防ぐ有効な策がなかった。

効果

  • 実験計画時にRegSysと連携された電子実験ノートに反応式を入力すれば、ワンクリックで精度の高い法規制チェックが行えるようになった。また、レポート生成も容易にできるため、業務効率が向上した。
  • 電子実験ノートを用いた法規制チェックを必須項目として業務フローに組み込むことで、法規制状況確認の徹底を図り、一方、法規制知識の個人差に基づくリスク要因を解消した。
  • 上記の結果、誤って法規制対象化合物を合成する懸念が払しょくされ、コンプライアンスの強化を実現した。

導入の背景・経緯

  • 旭化成ファーマは2008年10月30付の日本製薬団体連合会発令『麻薬等に該当する物質の管理に関する調査について』を受け、2009年にRegSys を導入し、既存のサンプルや試薬などへの法規制対応を強化した。しかし、新たに合成される化合物に対する実験計画段階でのチェックを完全に徹底することができず、誤って法規制対象化合物を合成してしまうリスクがあった。
  • 過去の実験情報のトレースに関して、書庫に保管された紙の実験ノートと各研究者の記憶に依存していたため、人事異動に伴う情報逸失や無駄な失敗実験の重複などが懸念されていた。その点を問題視し、過去に行われた実験情報の電子化による共有を図ってきたが、電子化に伴う作業の負荷軽減や共有化方法そのものの見直しが課題となっていた。

Accelrys Electronic Lab Notebookを選択した理由

  • Accelrys Electronic Lab Notebookは、他社製品と比較して、化学構造情報のハンドリング機能への信頼性が高かった。また、他システムとのインテグレーションなど拡張性に優れており、将来的に研究情報を一元管理する基盤システムとなりうるポテンシャルが高いと判断した。
  • 評価期間中に技術支援をしていたCTCLSが、旭化成ファーマの要望を真摯に受け止め、何事にも迅速かつ親身に対処しようとする姿勢に信頼が持てた。

導入のポイント

  • 医薬研究センター合成化学研究部を対象に導入した。
  • 「コンプライアンス強化を果たす実験計画段階で用いるツール」という位置付けで導入した。こうした利用目的を限定した導入によって短期間での運用開始を実現するとともに、業務フローの変化に伴う影響を最小限に留めることができた。
  • テスト評価期間中に、システム担当者自らが業務に即したテンプレート構築や運用手順を策定し、本番運用開始前にトレーニングを実施したことで、全エンドユーザーに比較的スムーズに浸透させることができた。

導入の効果

  • 実験計画時に電子実験ノートに反応式を登録するだけで、システム内でシームレスに、かつ、確実に法規制チェックが行えるようになった。これにより、研究者の業務効率が向上したほか、法規制対象化合物を合成してしまうリスクが払しょくされた。
  • 法規制チェックの結果をレポート機能により定義したフォーマット(危険予知活動シート:KYシート)に簡便に反映、出力することができるため、KY活動に必要な書類作成の時間短縮が進み、かつ、KY活動における法令面の安全意識を向上させることができた。
導入の効果
  • 電子実験ノートの導入は今後、研究情報の共有化・統合化を進めていく上で、重要な布石となる。
  • 反応条件検討用のテンプレートを構築した。これにより、仕込量や温度など複数の反応条件をまとまった単位で記録し、異なる条件間での収率の比較が容易に行えるようになった。

今後の展開

  • 電子実験ノートの段階的な利用拡大を進めていくが、完全電子化については、知財保護の観点および費用対効果の視点から有用性を見極めた上で判断する。
今後の展開
  • 電子実験ノートのデータベースと化合物管理データベース、薬理試験データベースなどの串刺し検索を可能にすることで、多角的な意思決定を迅速に行えるようにする。
フロー
  • 化合物登録システムと連携を図り、合成化合物情報登録作業の簡便・迅速化を目指す。
  • 試薬管理システム(RAKTIS)との連携を図り、簡便な在庫状況把握に伴う実験計画作業の効率化を目指す。

導入企業様の情報

旭化成ファーマ株式会社

本社住所

〒101-8101
東京都千代田区神田神保町1丁目105番地 神保町三井ビルディング

URL

http://www.asahikasei-pharma.co.jp/ window open

※ 部署名、役職名、その他データは、取材時(2014年7月30日)当時のものです。

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