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in silico毒性予測システム Derek Nexus 化粧品業界向けアプリケーション

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Derek Nexusは、知識ベースのin silico毒性予測システムです。化学物質の構造式から毒性に関与する部分構造を洗い出し、潜在的な遺伝毒性や発がん性、皮膚感作性、皮膚刺激性などの毒性エンドポイントを予測します。

皮膚に直接塗布する化粧品の開発では、主に突然変異原性や皮膚感作性の安全性評価が重要となります。万が一、皮膚トラブルが発生してしまうと、消費者への損害賠償支払いだけでなく、ブランドイメージ失墜による売上低下など、化粧品メーカーにとっての経済的損失は計り知れません。

そのため化粧品メーカーでは、万全な安全性評価体系を組んでおり、パッチテストなど、皮膚感作の評価に重点を置いた試験が実施されています。

動物実験代替法ニーズの高まり

伝統的な動物試験

In vivo皮膚感作性試験には、下記のようなモルモット・マウスを用いた動物試験が実施されていました。

  • VGPMT(Guinea pig Maximization test)
  • LLNA(Murine Local Lymph Node Assay)
伝統的な動物試験

動物愛護に関する規制と動物試験代替法へのニーズ高まり

EU域内では、1993年、化粧品の動物実験の段階的な廃止を合意して以降、2003年にはEU化粧品指令第7改正発効して以降、EUでは化粧品(完成品)の動物実験が廃止となりました。以降、段階的に廃止が進み、2013年施行のEU化粧品規則(EC)No 1223/2009により化粧品成分も含めた動物実験が禁止となりました。

また国内でも、「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)が改定されるなど、実験動物の3R(①Replacement:動物を用いない方法に置き換える②Reduction:動物の使用数の削減③Refinement:動物使用に伴う苦痛の削減)の徹底が問われるようになりました。

こうした背景を受け、動物実験代替法の開発・研究が国内外で活発に行われるようになり、h-CLAT(human Cell Line Activation Test)法や3次元ヒト皮膚モデルを用いた皮膚刺激性試験各種in vitro試験が開発されてきています。

化粧品開発へのアプリケーション

in silicoによる皮膚感作性予測

動物実験代替法ニーズの高まりを受けて、in silicoによる皮膚感作性予測の実用が期待されてきています。

Derek Nexusは、化粧品開発のこのような目的でお使いいただけます!

Lhasa社が開発したin silico知識ベース毒性予測システムDerek Nexusは、海外のLhasa Memberから提供されたLLNAデータなど既知知見に基づいた皮膚感作の経験則をAlertとして蓄積し、化粧品に含まれる成分の化学物質などについて、皮膚感作性予測や皮膚刺激性、発がん性、突然変異原性など潜在的に起こり得る毒性を網羅的に予測します。

動物実験代替法として皮膚感作性予測

下図に示されるよう、in vitro系に加え、in silico(Dマーク)の予測結果を補完することで、動物試験を行わずともより精度の高い皮膚感作性予測が可能になると考えられます。

動物実験代替法として皮膚感作性予測
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ヒトの皮膚感作性予測

動物試験の代替としてはもちろん、ヒトに化粧品を用いた際の皮膚感作性も予測できます。

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職業安全衛生の観点による皮膚感作性ハザード評価

化粧品開発に限らず、化学物質を業務で取り扱う研究者に対する皮膚感作性のハザード評価に利用されている事例が多くあります。

Derek Nexusによる毒性予測

知識ベースin silico毒性予測システムDerek Nexusは、添加物・香料・容器からの抽出物など化学物質の構造式からからその毒性を予測する知識ベース型のSAR(構造活性相関)予測ソフトウェアです。

毒性の潜在的リスクを評価したい化学物質の構造式を入力するだけで、毒性発現に関与すると考えられる部分構造(Alert)を分かりやすく提示し、毒性の根拠となる知見を提示します。

Derek Nexus:予測結果例
Derek Nexus:予測結果例
Derek Nexus:予測結果例 ― 予測結果の根拠の開示
Derek Nexus:予測結果例 ― 予測結果の根拠の開示
Derek Nexus:毒性エンドポイントの種類 ― 皮膚感作性 & 刺激性
Derek Nexus:毒性エンドポイントの種類 ― 皮膚感作性 & 刺激性

EC3予測

予測はNearest Neighbour Modelに基づいて行われます。Nearest Neighbour Modelは、クエリー化合物と同じToxicophoreを呈するReference化合物セットの組み合わせから取得されます。 最近傍についてsimilarity scoreを計算し、EC3予測を行います。

最近傍化合物は、Lhasa EC3データセットの650以上の化合物から選択されます。 これら化合物のEC3値は文献から得られ、Lhasa社の科学者によってキュレーションされたものです。 複数の文献でEC3値が報告されている化合物については、外れ値からの干渉を低減するために中央値をとっています(図1〜3)。

図1.-3.:Lhasa EC3データセットのEC3値のキュレーションの例図

Nearest Neighbour Modelのダイヤグラム表現は、下図で見ることができます(図4)。

  1. このモデルには3つのステップがあります。まず、皮膚感作性アラートを呈するかどうかを評価するために、Derekでクエリー化合物が予測されます。
  2. 続いて、クエリー化合物と同じ皮膚感作性アラートを構造を有するLhasa EC3データセットに含まれる化合物が同定されます。これら化合物では、クエリー化合物と同じメカニズムによって皮膚感作を引き起こすと考えられます。
  3. 最後に、Lhasa EC3データセットの化合物は、内部の化学構造フィンガープリント技術を用いて評価されます。それらは、Tanimotoスコアを用いて、クエリー化合物との類似性について評価されます。 最近接の10化合物までがハイライトされ、加重平均に基づいてEC3の予測値を算出します。 最近傍化合物よりが3つよりも少ない場合、予測は行われません。
図4.:EC3値予測におけるステップ
EC3予測結果

予測結果画面(図5)について:

  • EC3予測結果には、明確でグラフィカルな表現が提供されており、これは最近傍・クエリー化合物に対するTanimoto SimilarityおよびEC3値を示しています。それぞれの最近傍化合物は、SensitiserまたはNon-sensitiserのいずれかに明解に識別されます。
  • EC3の数値予測に加えて、色分けされたECETOC分類を表示するオプションがあり、視覚的に分かりやすい色分けは、化合物分類するのに役立ちます。
  • 最近傍の化学構造式が表示されるため、化合物を選択すると、データソースとReferenceを含む情報ボックスが表示されます。

エキスパートによる微調整:

  • 予測結果の情報は透明性が高く、エキスパート評価に基づいて予測に最近傍化合物を追加または削除することができます。
  • ユーザーは、Lhasa EC3データセットを独自のデータで補うことで、カバーするケミカルスペースを拡充することができます。 しかし追加できる化合物は、Derekで皮膚感作性のアラートを発する化合物に限ります。この条件を満たさないと、最近傍として使用できません。
図5.:3,5-ジアミノフェノールのDerek EC3予測
パフォーマンスメトリックス

Lhasa社の科学者は、外部の化合物テストセット(図6)に対するEC3値を予測させて、予測精度を評価しました。このモデルは、実際にSensitiserである化学物質の曝露によって引き起こされるリスクを優先し、Underpredict(過小予測)しないように設計されています。 このモデルは、化合物が適切なECETOCカテゴリーの79%、そしてGHSカテゴリーの89%の範囲内で、正しく予測またはOverpredict(過予測)します。

図6:外部データセットに対するDerek EC3予測の予測性能評価

ECETOC(欧州化学物質生態毒性および毒性センター)の分類は、数値に応じて4つの異なるカテゴリーに分けられます(図7)。

図7

GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」)には、1Aと1Bの2つのサブカテゴリがあります。EC3値が2%以下の場合は1A、EC3値が2%以上の場合は1Bに分類されます。

機能と利点
  • 毒性の理解を高める:皮膚感作性の予測は、専門家が特定の化合物がもたらすリスクをより完全に理解することを可能にします。
  • 明瞭にビジュアル化される結果:グラフ表示は、潜在的なSensitiserについて、専門家による迅速かつ容易な評価が可能となることを保証します。
  • 透明性:Derek Nexusは、EC3値と最近傍化学構造式を提供し、専門家による徹底的なレビューを容易にします。
  • エキスパートレビューを容易にする:エキスパートは、エキスパートの知見に基づく計算により、化合物を追加または削除して、EC3予測を微調整することができます。

Negative Prediction

更にDerek Nexusは、皮膚感作アラートがヒットしなかったクエリー化合物をLhasa皮膚感作Negative Predictionデータセットと比較して、以下の結果を生成します。

  • 分子内のすべてのフラグメントが、データセットから正確に分類された化合物に見出される場合、Non-Sensitiserの予測が表示される。
  • Lhasaデータセットのnon-alerting sensitisersにクエリーのフラグメントが見出される化合物については、予測結果はNon-Sensitiserであるが、エキスパートの評価によって否定的な予測を検証できるように部分構造がMisclassified1とハイライト表示される。
  • Lhasaのデータセットにクエリーの部分構造が見つからない場合、予測はNon-Sensitiserのままですが、Unclassified2のfeatureがハイライト表示され、エキスパートの評価によってNegative Predictionが確認されます。

Negative Predictionに対する理解の詳細については、次のインフォグラフィックをご覧ください。

  1. Misclassified featureは、LhasaのReferenceセット中のNon-alerting mutagens/skin sensitisersから誘導されたものです。
  2. Unclassified featureは、LhasaのReferenceセットには無いものです。
Lhasa Skin Sensitisation Negative Predictionsデータセット

Lhasa Skin Sensitization Negative Predictionsデータセットは、ヒトと動物両方のデータで構成されています。 特定の参照化合物についてExperimental callを割り当てるために、アッセイ階層を使用してデータをランク付けします。例えば、ヒトのデータは、標準的な動物アッセイよりも上にランクされ、同様に非標準的および他の動物アッセイよりも上にランクされる。 データのサマリーを下の表に示します。

皮膚感作のパフォーマンスメトリック

986化合物の外部データセットを使用して、Derek Nexusの皮膚感作性に関するNegative Prediction機能の性能を測定した。 外部検証の結果は、以下の図8を参照してください。

皮膚感作のパフォーマンスメトリック
図8:外部データセットバリデーションによるNegative Prediction予測精度

MisclassifiedとUnclassifiedの結果は、専門家によるレビューのために強調表示されているが、必ずしも毒性活性があるという指標ではない。

各タイプ予測の発生率は、図9に見ることができます。

図9:外部バリデーションにおける予測の各タイプの発生頻度
Nevative Prediction
予測結果画面

例:Misclassified feature(s)

Nevative Prediction 予測結果画面

化粧品・香料関連の政府機関・企業の導入実績

海外
  • Avon Products Inc.
  • Firmenich
  • International Flavors & Fragrances
  • Pierre Fabre Dermo-Cosmetique
  • Procter & Gamble
  • Research Institute for Fragrance Materials
  • Senomyx Inc
  • Unilever

ほか

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