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製品トピックス2016/12/21

インドExcelra社が来日、海外製薬業界におけるデータ解析のトレンドについて語る

10年以上に渡りCTCLSとパートナーシップを結んできたインドの大手創薬研究開発サービスプロバイダーGVK Biosciences Private Limited(以下、GVK Bio社)から2016年4月、インフォマティクス部門が分離独立し、Excelra Knowledge Solutions Private Limited(以下、Excelra社)として始動しました。同年10月、Excelra社の代表取締役Anandbir Singh Brar氏とPharma Analytics部門・統括責任者Nandu Gattu氏が来日したので、海外の製薬業界におけるデータ解析のトレンドや、今後注力していくビジネスについて取材しました。

今年4月、GVK Bio社から分離独立したExcelra社が設立しました。コーポレートカラーに先進的な印象のブルーを基調にするなど、ブランドイメージも刷新しています。設立の背景や意気込みについてお聞かせください。

Excelra社 代表取締役
Anandbir Singh Brar氏

Anandbir氏:受託合成など研究室での受託実験サービスをメインに提供していたGVK Bio社から、データのカスタムキュレーションやデータベース開発に携わっていたインフォマティクス部隊が分離独立して、このほどExcelra社を設立 する運びとなりました。これにより我々は、インフォマティクスのビジネスに専念でき、データベースなどの製品やデータ解析サービスの質をより充実させることで、創薬研究開発の業務効率化に貢献していきたいと考えています。

分離独立から半年たった現在(2016年10月)では、既に、化学、バイオロジー、薬理学、バイオインフォマティクス、コンピューテーショナルバイオロジー・ケミストリーなど多様なスキルセットを持ち、しかも修士号・博の優秀な科学者が従事しており、今後ビジネスを展開していくうえで十分な体制が整っています。お客様である製薬会社の競争力向上や価値創発をもたらせるよう、「Excelra社自身も現状に満足することなく、進化しつづけていきたい。」という思いで、ブランドイメージもリニューアルし心機一転、ビジネスを展開していきます。

海外の製薬企業では、どのような創薬研究開発業務の課題解決のニーズが高まっているでしょうか。注目されているトピックスがあれば教えてください。

Excelra社Pharma Analytics部門・
統括責任者Nandu Gattu氏

Nandu氏:海外の製薬企業では、創薬研究開発で蓄積されてきたデータの利活用や解析を進めようという動きが活発になっています。そうした中、より広範囲の業務でin silico予測を取り入れていくケースが増えています。しかし、その多くが、これら予測結果について生物学的な妥当性を評価したいが、評価に使えるような品質の高いデータを持っていないといった課題に直面しているのを、目の当たりにしています。
また、ゲノム解析のためのソフトウェアやサービスには引き続き注目が集まっており、システムバイオロジー手法を取り入れた臨床試験モデリングも多くの製薬企業で取り組まれているようです。

もう一つ重要なポイントは、ライフサイエンス業界で生成するデータは爆発的に増加していますが、この膨大なデータから新規発見をする精度の高い解析方法として、技術の進化が目覚ましい、人工知能(AI)や機械学習、コグニティブ・コンピューティング、NLP (Natural Language Processing、自然言語処理)などの活用に目を向ける製薬会社が増えてきているということです。

莫大な費用が掛かる研究開発コストに追い打ちをかけるように低い成功率、長期間にわたる創薬研究開発のタイムスパンなどを背景に、製薬業界では、「Fail fast, Fail early」パラダイムの気運が高まっています。そのような中、過去の創薬研究開発で蓄積してきた候補化合物や市販品のデータから読み取れる情報の精度を高め、開発品がドロップアウトしてしまう確率を低下させるというのが、今まさに製薬会社が求めていることでしょう。

こうしたニーズに対し、今後どのようなビジネスに力を入れていくでしょうか。

Nandu氏:多様化、複雑化するデータ解析における課題解決を支援できるよう、我々は、GVK Bio社時代から長年培った、創薬探索、開発、臨床試験に渡る幅広い研究者のニーズに対応したデータキュレーションやナレッジマネージメントのノウハウを強みにしていきたいです。Excelra社の知見を集積させた、バイオマーカーデータベース「GOBIOM」や低分子医薬系化合物情報統合Webデータベース「GOSTAR」、主要な疾患に対する治験情報データベース「CTOD」、「臨床試験データキュレーションサービス」は、需要がとどまることなく拡大し続けています。これは前に述べた、ウェットラボの実験データを格納しているExcelra社のデータベースがin silico予測に用いる適切なデータとして活用されているのも一つの理由だと考えられます。

また、専任組織である創薬データ解析ビジネスユニットを立ち上げ、創薬研究開発ライフサイクル全体に幅広く適用できるような、自社独自開発のツールやアルゴリズムを駆使したコンピューテーショナルバイオロジーサービスの提供に力を入れていきます。科学的や経営的要因を考慮するなど多角的な視点で、創薬開発において懸念される潜在的な課題を予見しつつ、既知の知見を有効活用した網羅的な評価サービスを提供していきたいです。同ビジネスユニットでは製薬会社からの高まるニーズに応え、自動化アルゴリズムと博士号を取得した科学者による解釈を加えた解析を組み合わせたアプローチにより、薬物、ターゲット、疾患間の相関を明らかにする「ドラッグリポジショニングサービス」の提供に今後もますます力を入れていきます。

今後日本でのビジネスを進めるうえで、CTCLSに何を期待しますか?

Anandbir氏:CTCLSは、日本でビジネスをしていくうえで絶対的に信頼のおけるビジネスパートナーです。GOBIOMやGOSTARの提供はもちろんのこと、今後はデータ解析を軸とした新規ソリューションを展開したいので、日本の多くの製薬会社やバイオテック、大学とコネクションを持つCTCLSのマーケティングやセールスプロモーションに、大いに期待をしています。また欧米と日本の製薬会社における、両者間の業務課題やニーズにはどうしてもギャップが存在します。それを埋めていくため、CTCLSは日本の現場研究者から生の声を吸い上げてフィードバックしてくれるのでExcelra社にとって有用なものとなっています。チャンスがあれば、農薬や動物医薬品会社のお客様にもソリューションを提供していきたいです。

最後に、日本のお客様へメッセージをお願いします。

Anandbir氏:GVK Bio社時代から我々は、10年以上にわたり、製薬会社の研究者が取り扱うデータに関する様々なニーズに向けて取り組んできました。これまではデータ提供をメインに行っていましたが、昨今データの利活用を意識し、データと解析を統合したアプローチに注力しています。過去に、多くの日本の製薬会社とのデータ解析を目的としたプロジェクトにおいて成功を収めてきたExcelra社は、今後、単なる製品のプロバイダーとしてだけでなく、研究パートナーとしてのプレゼンスを高めていきたいと考えています。