イベントレポート2019/7/22

第50回 Lhasa International Collaborative Group Meeting(ICGM)を東京で開催

会場の様子

2018年11月6日(火)、東京都千代田区のフクラシア東京ステーションで、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)と英国Lhasa Limited(以下、Lhasa社)は、50th Lhasa International Collaborative Group Meeting(以下、ICGM)を開催しました。ICGMは、Lhasa社を中心とした、毒性代謝予測に関する知見共有を目的としたコンソーシアム活動の一環でもあり、ここで議論された内容は今後の製品開発に生かされます。

今回のICGMでは、先ずLhasa社が参画する、毒性情報のナレッジシェアを目的とした外部コンソーシアム活動について近況報告がありました。続いて、QSARやデータベースなど様々なアプローチによる、ICH M7対応を支援する各種ソフトウェアの開発状況についてアップデートがありました。特にPurge factor算出ツール「Mirabilis」では、Knowledge baseの網羅性向上に向けて、著しい機能改善策が取られています。そのため今回、Mirabilisに関して重点的に発表が行われました。また毎年恒例のICH M7 Worked Examplesでは、ご参加いただいたユーザー様に、ワークショップ形式でExpert Reviewを実践いただきました。このように各種発表を通じて、in silicoソフトウェアを用いたICH M7対応への理解をより深めていただくことができました。

Lhasa’s Scientific Future

Chief Scientific Officer, Richard Williams 氏

講演者
Lhasa 社
Chief Scientific Officer, Richard Williams 氏

最初のセッションでは、Lhasa社の科学的活動における取り組みについて発表がありました。

Lhasa社が開発したin silico毒性予測システム「Derek Nexus」は、毒性に関与する部分構造のパターンをルール化した「Alert」により予測が行われます。近年のLhasa社では、比較的予測メカニズムが複雑な毒性Endpointについて、既存のAlertによる予測精度改良に向けて精力的に取り組んでいます。
例えばCarcinogenicity(発がん性)は、発生メカニズムは複雑で、様々な要因が関与しています。そこで、細胞内のパスウェイ(シグナル伝達)を考慮したAdverse Outcome Pathway (以下、AOP) Networkに基づく、予測アルゴリズムの開発が進められています。
Hepatotoxicity(肝毒性)もまた、データソースが入手困難であるが故に、予測が難しい部類の毒性Endpointです。そこで、AOP Networkを活用したHepatotoxicityの予測手法が検討されています。これに加え、PubChem・Tox21・chEMBL・PubMedなどのMIEデータによる補完や、機械学習モデル搭載による予測も研究されています。

当セッションの締めくくりに、Lhasa社を中心としたデータ共有活動の将来像について発表がありました。下図のように、当初はDerek Nexusに組み込む毒性ナレッジの共有を目的としていましたが、それから構造式とAmes試験データに注力しました。そして、毒性の種類ごとに深堀が必要と考えた同社は、毒性データベースViticを基盤とした、芳香族アミンや賦形剤など特定化学物質にまつわるデータ共有プロジェクトを立ち上げました。近年では前臨床や臨床データまで裾野を広げ、ますます高品質なデータ共有を目指して活動しています。

図:Lhasa社によるデータ共有活動の変遷(50th ICGM発表資料より)

図:Lhasa社によるデータ共有活動の変遷(50th ICGM発表資料より)

eTOXsys and eTRANSAFE

Business Development Manager, William Drewe 氏

講演者
Lhasa 社
Business Development Manager, William Drewe 氏

Lhasa社ではin silicoシステムの開発だけでなく、第三者外部機関による毒性情報のナレッジシェアを目的としたコンソーシアムに参画しています。当セッションでは、このような活動の近況についてアップデートしました。

現在、精力的に活動をしているのは「eTOXsys」(http://etoxsys.com/)プロジェクトです。これは、2010~2016年における、医薬品候補化合物の安全性情報共有を図る「eTox」の後継プロジェクトです。eTOXsysは、医薬品候補化合物の早期安全性評価に役立つ情報を収集しています。ここでLhasa社は、これらデータを集積したデータベースプラットフォームや予測モデル構築を手掛けています。

また、「eTRANSAFE」(http://etransafe.eu/)コンソーシアムにも参画しています。同プロジェクトでは、SENDデータ含む、前臨床データのデータベース構築を目指しています。最終ゴールは、前臨床と臨床試験データから得られたバイオマーカーの相関から、ヒトに医薬品を投与した際の有害事象を予測させる仕組み作りです。規制当局(FDAやEMA、PMDA)に承認された実績のある、信頼性の高いデータがコンソーシアムメンバーから提供されています。これらに加え、CheMBLやTox21など他のデータソースと繋ぎ合わせ、予測に導くプラットフォーム開発にも取り組んでいます。

図:eTRANSAFEのデータソース(50th ICGM発表資料より)

図:eTRANSAFEのデータソース(50th ICGM発表資料より)

eTRANSAFEは、2017年9月に発足し、2022年8月に完了する予定です。今後もLhasa社は、同プロジェクトの進捗状況を随時発信していく予定です。

昼食&懇親会

ランチタイムは、Lhasa社やお客様同士でネットワーキングしていただきながら、昼食をお楽しみいただきました。

事前アンケートで、80%以上の方ユーザー様が「他社がどのように利用しているか気になる。」と回答されました。また、他社事例を聞くだけでなく「日本におけるin silico毒性予測の利用が進むのであれば、自らの体験談を話したい。しかし、気軽に話せる場がない。」という貴重な声をいただきました。そこでCTCはこうした要望にお応えするために企画した、ユーザー様同士をつないでオンラインでディスカッションする場「CTC Live!」について、参加者を呼びかけました。

昼食&懇親会の様子
昼食&懇親会の様子
昼食&懇親会の様子
昼食&懇親会の様子

デモコーナーでは2018年10月、CTCが新規に取扱い開始したコグニティブ検索・アナリティクスプラットフォーム「Sinequa ES」をお披露目しました。

これまで「懇親会といえばディナー」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。しかし「働き方改革」が進む時代を背景に、ランチタイムの懇親会とさせていただきましたが、活発に交流を深めていただくことができました。

Overview of Mirabilis 3.0

Account Manager, Meekee Kok 氏

講演者
Lhasa 社
Account Manager, Meekee Kok 氏

2017年に商用リリースした、変異原性不純物 Purge factor 算出ソフトウェア「Mirabilis」。その後改良が重ねられ、現在バージョン3.0がリリースされています。当セッションでは、Lhasa社のMeekee氏より、Mirabilis3.0について紹介が行われました。

Mirabilisは、医薬品原薬(API)の合成経路における残存不純物のリスク管理を支援するソフトウェアです。不純物が化学的に反応性を持っていた場合、変異原性を引き起こす可能性があります。そのため、最終原薬中に変異原性を持つ不純物が含まれていないかどうか、注意深く監視する必要があります。
原薬中の不純物残存率を示す値は、Purge factorで定義されます。
Purge factorは、合成プロセス上流の不純物レベルを、合成プロセス下流の不純物レベルで割った値として算出されます。

Impurity A

下図で示されるように、Purge factorが大きくなればなるほど、不純物の残留濃度が低いことを示しています。

impurity concentration and purge factor

Teasdale著の以下論文に、リスクを懸念すべき不純物の存在を評価する手法について、記載されています。
“Risk Assessment of Genotoxic Impurities in new Chemical Entities: Strategies to Demonstrate Control” Org. Process Res. Dev., 2013, 17(2), 221-230

この論文は、ICH M7「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」ガイドライン中にも引用されています。そして算出されたPurge factorは、以下のように分類されます。

Category / Assignable values

上記Teasdale氏の論文に基づき、Purge factor評価の原理を組み込んで開発されたソフトウェアが、Mirabilisです。Mirabilisは、潜在的な変異原性不純物(PMI)の管理を支援します。同ソフトウェアは、英国Lhasa社を中心とした、AstraZeneca社やPfizer社など世界の製薬メーカー 21社が参画するコンソーシアムで開発されています。Purge factorを用いた評価結果を含む新薬承認が、規制当局に承認された実績があります。即ち、Mirabilisを用いることで、製薬業界の標準的なアプローチに従った変異原性不純物の評価を実施しているといえます。

Mirabilisの使用には、先ずクエリとなる原薬化合物と合成経路の入力が必要です。次に、合成経路中に含まれる変異原性不純物をアサインし、それぞれ反応性及び、個々のステップで実施される各種操作[後処理(留去、抽出、ろ過)、精製(カラム、再結晶)]のpurge factorを割り当てます。この合成経路中の全てPurge factorの掛け合わせにより、API全合成過程における変異原性不純物のトータルPurge factorが計算されます。

当セッションでは、Mirabilis3.0の主な新機能についても発表がありました。1つ目は「Knowledge Matrix」の公開機能です。不純物の化合物クラスに対する、Structure classとReactivityのマトリックスが、明示されるようになりました。

図:Mirabilis3.0新機能:Knowledge Matrix

図:Mirabilis3.0新機能:Knowledge Matrix

もう一つの新機能が、「Purge factorとPurge ratio」の自動計算です。不純物に対し、初期濃度や不純物の許容限界値やAPI投与量を入力すると、Purge ratioが算出されます。Purge ratioは、ICHM7 Option4の管理戦略で考慮されるパラメーターです。そのためMirabilisが、Purge ratio提示することにより、この管理戦略をより網羅的に支援します。

図:Purge factorとPurge ratioに関する参考文献

図:Purge factorとPurge ratioに関する参考文献

Mirabilis - The Business Benefit

Member Services Director, Scott McDonald 氏

講演者
Lhasa 社
Member Services Director, Scott McDonald 氏

「創薬研究開発業務に、Mirabilisを用いるメリットは?」
この問いに答えたのが、当セッションです。

結論からいうと、不純物管理にICH M7に従うOption4において、分析試験を行うよりも、文献で論じられるPurgeアプローチを用いた方が、コストは節減できると考えられます。またMirabilisを用いた方が、各製薬企業が独力でPurgeアプローチによる不純物管理を行うよりも、更にコストが抑えられます。
上記を裏付ける事例について詳しく解説がありました。

図:「AstraZeneca社Andrew Teasdale氏が同社で臨床試験を通じて経験した不純物のリスク評価の比較事例

図:「AstraZeneca社Andrew Teasdale氏が同社で臨床試験を通じて経験した不純物のリスク評価の比較事例
(分析試験 vs 文献ベースのPurgeアプローチ vs Mirabilis)」(50th ICGM発表資料より)

3つの手段(分析アプローチ vs 文献ベースのPurgeアプローチ vs Mirabilis)で、掛かったコストに大きな差が出ています(下段の棒グラフ)。この理由は、各手段で必要とする分析試験実施コストや人件費が異なるからです。

全て実験を行うよりも、Purge factorによる計算を用いた方が実験の数を減らせることは明白です。即ち実験に関わる時間やコストの削減に繋がります。また、論文に基づいたPurge factor算出よりも、Mirabilisを用いることで更にコストが削減しました。それはPurge factor算出では、研究者の経験や知見による差異を考慮してからでないと結論を下せません。これに対し、Mirabilisは、化学合成反応始め不純物の除去率を判定するプロセスが、標準・定型化されているため、効率性の向上に大きく貢献するからです。

将来的にますますKnowledge baseが充実していくMirabilisは、in silicoによる予測精度が高まることで、使用するメリットが更に強化されるものと考えられます。

Mirabilis - The Scientific Future

Senior Account Manager, Andy Shannon-Little 氏

講演者
Lhasa 社
Senior Account Manager, Andy Shannon-Little 氏

当セッションでは、MirabilisのKnowledge base開発についてアップデートがありました。

現バージョンのMirabilisのKnowledge baseに包含されていない不純物クラスのReactivity(反応性)や、Solubility(溶解性)、Volatility(揮発性)について、ユーザー自身でPurge factorを入力する必要があります。
これらPurge factorをソフトウェアで算出可能になるために、Lhasa社では様々な施策が検討されています。

例えばSolubilityによるpurgeの場合、二次元構造から予測可能なpKaなど、pH依存性を考慮したPurge factor算出が研究されています。

次にReactivityでは、Mirabilisが包含するデータベースの網羅性向上に向けて様々なデータソース組み込みが検討されています。またVolatilityによるpurgeでは、異なる溶媒の温度など様々な条件による、purge算出が検討されています。このように、Mirabilisが自動計算可能な反応クラスと、ユーザーが入力必須となるケースとのギャップを埋めるべく、Lhasa社では様々な取り組みが行われています。

Introduction to Vitic 3.0

Product Manager, Nicholas Marchetti 氏

講演者
Lhasa 社
Product Manager, Nicholas Marchetti 氏

Viticとは、化学構造式で検索可能な毒性データベースです。同データベースのデータは、いずれもLhasa社のデータベースサイエンティストにより精査されているため、データ信頼性の高さが特長です。

2018年7月にリリースされたVitic3.0では、システムの再構築により、パフォーマンスとユーザビリティが大幅に改良されました。

クエリを入力するQuery Builderのインターフェースが大いに改善されました。構造式の入力や、テーブル形式のフォームにより毒性レコードにより検索がしやすくなりました。

図:Vitic3.0のQuery Builderインターフェース(50th ICGM発表資料より)

図:Vitic3.0のQuery Builderインターフェース(50th ICGM発表資料より)

図:検索結果の画面(50th ICGM発表資料より)

図:検索結果の画面(50th ICGM発表資料より)

Zeneth Update and Future Plans

講演者
Lhasa 社
Product Manager, Nicholas Marchetti 氏

Zenethは、有機化合物の分解生成物予測システムです。Knowledge baseに基づき、苛酷試験による分解生成物や分解反応経路を予測することができます。Query化合物を入力すると、Knowledge baseに格納される分解反応のパターンへの照合が行われます。そのパターンに一致すると、化学分解反応が起こると予測され、分解生成物の起こりやすさについて評価されます。

図:ZenethのKnowledge baseに登録されるパターンの一例(50th ICGM発表資料より)

図:ZenethのKnowledge baseに登録されるパターンの一例(50th ICGM発表資料より)

また賦形剤との潜在的な反応もまた予測することができます。

図:原薬と賦形剤との反応例(エステル化反応)(50th ICGM発表資料より)

図:原薬と賦形剤との反応例(エステル化反応)(50th ICGM発表資料より)

また、温度や各種環境(温度、酸/アルカリ存在下、ラジカル共存下、光条件下等)を考慮して予測ができる点も特長です。

Lhasa社では、2013年のZeneth初版のリリース後、毎年Knowledge baseを拡充しており、現在492反応パターンが登録されています。それらは、酸化、加水分解、凝縮、除去、異性化、光分解などの反応で構成されています。現在は、次期バージョンであるZeneth 8の開発が進められています。主な改良ポイントの1つに、「分解生成物のLikelihood(確からしさ)」を「スコアリング(数値化)」する取り組みがあります。例えば、異なるpH条件下ではどのように分解物が生成する確率が変化していくかについて数値化されるため、より明確に得られるようになります。
さらにpKaやステレオケミストリーの考慮なども予測精度向上のため、現在研究が進められています。

Sarah Nexus - the Statistical-based System for ICH M7

講演者
Lhasa 社
Chief Scientific Officer, Richard Williams 氏

Sarah Nexusは、統計ベースの毒性予測システムです。QSARモデルは、これまで予測手法がブラックボックスであるというイメージが定着していました。しかしSarah Nexusの手法は、多くの論文に公開されており、高い透明性が特長となっています。

図:Sarah Nexusの手法について解説された論文

図:Sarah Nexusの手法について解説された論文

バリデーションの事例:https://doi.org/10.1016/j.yrtph.2015.12.006

また海外大手製薬の多くが、Sarah Membershipに参画しております。Lhasa社は、Novartis社やPfizer社、DSM社始めMemberが過去に寄稿した知見を大いに活用して、Sarah Nexusの開発を進めています。

Sarah Nexusは、ICH M7ガイドラインに対応したリスク評価ワークフローにおいて、QSARモデルの1つとして全世界で利用されています。Derek Nexusは、約30年に渡り、定性的毒性予測システムとして不動の位置を築いてきました。その功績がたたえられ、2016年にはDerek Nexusが、続いて2017年にはSarah Nexusが英国女王賞イノベーション部門賞を受賞しました

図:英国女王賞受賞風景

図:英国女王賞受賞風景

Sarah Nexusユーザーの殆どが、Derek Nexusと併用してICH M7対応を行っています。Derek Nexusユーザーは、Lhasa社に対する信頼性に加え、同じプラットフォーム上で相補的なQSARモデルによるICH M7対応が可能な点をメリットと捉えており、両システムを使用するケースが多く存在します。

またLhasa社は規制当局とも強固な関係を築いており、規制対応におけるQSARモデル適用について、豊富な知見を持ちます。そこで、ICH M7対応に向けたin silicoシステムの活用について、Lhasa社のノウハウを通じて全世界のMemberに享受できるよう、様々なコンテンツを提供しています。

例)Webinar「Dealing with Out of Domain (Q)SAR Predictions for ICH M7: A Regulatory and Industrial Perspective」https://www.lhasalimited.org/publications/dealing-with-out-of-domain-qsar-predictions-for-ich-m7-a-regulatory-and-industrial-perspective/4476

Sarah Nexusの次期バージョンに向けた開発では、トレーニングデータやインターフェースの改良に注力しています。具体的にはフラグメント化合物や中間体の拡充が進められています。ICH M7クラス(Class 3, Inconclusiveなど)の分類が明示や、Derek NexusとSarah Nexusの結果を並べて表示されるなど、Expert Reviewをしやすくするための機能改善も進められています。

Enhancing the ICH M7 Workflow through Setaria

講演者
Lhasa 社
Business Development Manager, William Drewe 氏

Setariaは、効率的なICH M7ワークフロー対応を支援します。同ソフトウェアは、GSK社との協業が出発地点でした。GSK社が蓄積していた自社データベースの再構築を起点に、創薬プログラムにおけるリスク評価を目的として開発されました。

商用版として開発されたSetariaは、ICH M7評価を支援するデータベースを格納しています。具体的には、QSAR情報(Derek NexusやSarah Nexusによる予測結果との連携)、他のQSARシステムによる予測結果のインポート、職業毒性データ、Ames変異原性・発がん性データなどICHM7対応を支援するデータを包含しています。またViticとのダイレクトリンクも可能です。

同ソフトウェアでは、これらのデータが紐づけられ表示されるため、Expert ReviewによるICH M7のClassアサインを支援します。

図:Setariaユースケース「ICH M7対応」(50th ICGM発表資料より)

図:Setariaユースケース「ICH M7対応」(50th ICGM発表資料より)

Setariaには他にも、様々なユースケースがあります。代表的なのが、創薬プログラムにおけるリスク評価です。Ames試験データやDerek Nexus、Sarah Nexus、QSARデータが画面内にサマライズして表示されます。そのため、リスクの低いケミカルスペースの考察に役立ちます。

次期バージョンのSetariaには、主にユーザー権限機能の強化に向けて開発が進んでいます。今後はSetariaを用いることで、より堅牢なコンプライアンス対応が可能になると期待できます。

Workshop - ICH M7 Worked Examples

ワークショップの様子

当セッションでは、ユーザー様にてExpert Reviewを実践していただきました。Lhasa社からお題のクエリ化合物と、Derek Nexus・Sarah Nexusでその化合物を予測した結果が提示されます。それに対し、ICH M7ガイドラインに従うとどのように解釈すべきか、ユーザー様同士でディスカッションしながら、結論に導いていただきました。議論が終わると正解と思われるのはClass 3、Class 5、Unsureのいずれかを挙手で投票します。それから、Lhasa社から模範解答について解説があります。この結論に導いた解釈の過程が、業務に大変役立つと、ユーザー様から大変好評をいただいております。そのため、このセッションを楽しみに参加されるユーザー様も多くいらっしゃいます。

ワークショップの様子

Lhasa社から提示される例題は、両システムで完全に予測結果が一致しない、判断が難しい化合物の例が多く出題されます。これらの解釈について、各グループで真剣に討議が進められました。

ワークショップで使用したテキスト

<問題の例>(50th ICGM発表資料より)

問題の例

Lhasa社による模範解答

Lhasa社による模範解答

こうして今年のICGMも、盛況の内に締めくくりました。

今後もLhasa社とCTCは、in silicoシステムの提供を通じて、製薬業界始め、化学、食品、化粧品、農薬など化合物を取り扱う産業の研究開発業務を支援してまいります。

製品紹介ページ

※記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
※部署名、役職名、その他データは、イベント開催当時のものです。