【自社解析事例】2020年ボランティア活動のトレンド分析からモチベーションを探る<パート3>

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2021.01.25

この記事は、CTCによるAIを用いたテキスト解析事例「2020年ボランティア活動のトレンド分析からモチベーションを探る」の第3回です。

これまでの分析で、日本語のニュースやSNS情報から、2020年ボランティア活動のトレンドを知ることができました。トレンドから情報を掘り下げていくことで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行も相まって社会貢献への意識の高まりや、そもそもボランティア活動が好きといった感情により、ボランティア活動が支えられていることが分かりました。

また、震災が多く市民ボランティアの活躍が復興に貢献している日本だからこそ、導入が拡大したボランティア休暇による体制整備や、「英語の勉強になる」という自己啓発への意欲もまた活動への興味を促していたようです。このように、自然言語処理によるテキスト情報解析により、日本独特のモチベーションについてインサイト(洞察)を得ることができました。

文化が違えば価値観もまた変わります。それが異なるモチベーションを生むこともあるのではないかと考えました。そこで今回は、AIを用いたテキスト解析エンジンQuidにより、海外(米国)のボランティア活動トレンドを分析し、日本でのトレンドと比較してみました。

分析に用いたデータソース

今回は、トピック「volunteer」を含むデータをQuidの分析に用いました。
データ検索画面(下図)では、検索キーワード(トピック)始め、検索対象の期間、情報源など指定することができます。ここで国・地域「アメリカ合衆国」を選択することで、米国のニュースやブログ、TwitterやFacebookなどのSNSデータがヒットします。

ここで気づいたのは、同じキーワード「ボランティア(volunteer)」を含む、米国と日本のデータ量の差です。日本の一年分が、英語の一か月分とほぼ同じというほど違いがありました。

そこで今回、解析当時の最新データとして2020年11月のデータセットを使用することにしました。

データ検索画面

- 感情分析で違いは見られるのか?

volunteerに関するデータセットを検索すると、自動的に「love」「good」「interested」といった肯定的(ポジティブ)な感情のキーワードを含むか(下図緑色)、または「complaint」「poor」「crisis」といった否定的(ネガティブ)な感情を含むのかについて感情分析(センチメント分析やポジネガ分析ともいう)が行われます。

図:英語(米国)データセットの感情分析の結果
図:英語(米国)データセットの感情分析の結果
図:日本語データセットの感情分析の結果
図:日本語データセットの感情分析の結果

米国と日本間で、ポジティブとネガティブの比率はほぼ同じ、7:3くらい。ポジティブなデータの方が優勢でした。しかも日本語データセットで多く見られた「好き」「いい」「興味がある」「ありがたい」に近しい、英語のキーワード「love」「good」「interested」「appreciative」が、米国のデータにも多く含まれていました。言語が違っているにもかかわらず、同じ傾向が見受けられたのは、大変興味深い結果です。

しかし、日本語データの分析結果と異なる特徴は、米国のデータには「thank」が圧倒的に多く使われていたことです。それに対し日本語で「ありがとう」は少数派でした。

Twitterで「thank」を含むツィートを調べてみると、下記例のように、ボランティアの支援者に向けた感謝のツィートが多数ヒットしました。

「thank」のツィート例:

Thank you to the volunteers who helped me out!!

感謝の意を表現する「Thank you」は、やはりトピックの中心になるほど、米国ではよく使用されているようです。

最近トレンドになっていた米国のボランティア活動とは?
そこには日本と全く異なるトレンドが存在していた

Quidに、米国における2020年11月のボランティア活動に関する情報(ニュースやSNSなど)を読み込ませると、自然言語処理がテキスト情報を読み解き、情報の類似度から分類した結果で、多いものから以下の順番になっていました。

米国における2020年11月のボランティア活動に関する情報

「High School」、「Food Bank」、「Church」は、日本ではトレンドになっていなく、米国のボランティア活動に関するトピックです。一方で、選挙に関する「Election Day」と「Covid19 Vaccine」は、日本でもトレンドになっていました。

さらに、日本におけるボランティア活動と対比させると、日本では主に大学生が多かったのに対し、米国では高校生が最も大きいクラスターとなっていました。またフードバンク活動は、海外に特徴的なボランティアの一つで、寄贈された食料を生活困窮者に提供する支援活動です。これが新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による不況下の元、失業率が高まり、米国のフードバンクによる食料供給が勢いを増して需要が高まっているという報道もあることから、大きなクラスターを形成していた理由と考えられます。(引用:日経ビジネス フードバンクの招かざる活況、「初めて」が7割の地域も

ここまでの結果を見て浮かんだ疑問が、「これらのトピックは、検索エンジンによりキーワード検索で見つけられなかったのか?」です。

そこでGoogleに「US volunteer」で検索してみると、volunteerに関連する公的機関が上位にヒットしていますが、いわゆるトレンドとなっている「High School」や「Food Bank」に関するヒットは、上位50位の中には含まれていませんでした(下図)。

Google「US volunteer」検索結果
図:日本語データセットの感情分析の結果

このように、思いつかないキーワードの情報も見つけ出してくれる、これがQuidの最大の特長です。

Quidが可視化した、2020年11月、米国ボランティア活動のトレンド全体像であるネットワークマップで、各トピックに共通する話題のクラスターを形成されています。

「High School」と「Church」、「Food Bank」は、互いに近接した位置にあるため、一見全く異なる内容のキーワードではあるものの、自然言語処理が文脈を解読したことで、内容の類似度も高いと分析されたようです。

これらは事実上、密接に関係しているようです。まず、米国の多くの高校では、社会奉仕活動を卒業条件に定めていることから、必然的に高校生が関与する割合が増えたと考えられます。また、フードバンク活動や教会の清掃や前庭のメンテナンスなど機会が与えられていることからも、子供に適したボランティア活動として拡大したのでしょう。(引用:国土交通省調べ Case Study 4 アメリカでのボランティア活動

「High School」のクラスターをハイライト表示

上図は、「High School」のクラスターをハイライト表示させていますが、右にはそのクラスターに含まれる上位キーワードが自動的に表示されています。

これらから「非営利団体」が提供するボランティア活動に高校生が関わっていることや、子どもたちの活動において、高校生は「マージャー」としてリーダーシップを発揮する機会が多いことが示唆されています。

以上の分析により、米国でもコロナ禍における社会貢献が、動機として高まっていることが分かりました。しかし高校生のクラスターが大きかったことから、米国では子どものうちからボランティア活動できる機会や場が多いという社会背景もまた、モチベーションを上げる重要な要素と考えられます。

米国の若者たち

分析を終えて

この事例では、3名のデータサイエンティストにより分析を行いましたが、Quidのネットワークマップの解釈も、三者三様。例えば、興味があると着目したクラスターの内容、それぞれの視点で興味ある方向にとことん掘り下げすることで、さまざまなインサイト(洞察)が得られました。

この数値や定型化されたレポートでは得られない、興味ある点に着目して、様々なビジュアライズと情報の深堀をアドホックにすることが、人知では見いだせないインサイト抽出に非常に重要であることを実感しました。

Quidを用いたビジネスシーン

Quidによるビジュアライズ(ネットワークマップとヒストグラム)を複数名で見ながら、アドホックに分析、多面的な視点での議論がインサイト引き出しに有効です。

例えばパート1では、最近の日本でどのようなボランティア活動が行われており、またそれはどのような理由からかを追究するため、日本語のデータセットに絞って分析をしました。しかし、そこで得られた分析結果を、別のデータセットで比較すると、さらなる特徴付けが行えるのではというアイデアが突如浮かび、米国のボランティア活動も分析してみたところ、その違いから日本の特徴を改めて知ることができました。途中から追加した分析シナリオにも、Quidは柔軟に対応できたのが良かった点です。

また、人が特定のキーワードを思いつかない限り、インターネットの検索エンジンで、新たな知見を引き出すことは非常に困難です。それがテキスト情報の読み解きにより、思いもよらないキーワードを得ることができました。

そしてテキストの読み込みと同時に、自然言語処理により文脈から、感情分析(ポジネガ分析)まで行えるため、モチベーションの要因まで探ることができたのです。

このモチベーションという、エモーショナルな要素は、ビジネスにおいて非常に重要です。例えば、購買意欲、学習意欲、成長意欲など、人々を動かすのが感情によるものだからです。

ビジネスのターゲットとなる消費者などの感情を理解した上で、アクションを決定することが、企業の活動において重要です。その重要性が認識されているため、昨今は自然言語処理の活用が進んでいるのでしょう。

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