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CTCLS、第39回 International Collaborative Group Meetingを開催

製薬・医療機器を始めライフサイエンス業界にソリューション提供しているCTCライフサイエンス株式会社(以下、CTCLS)は2014年11月20日(木)、東京都千代田区にある霞ヶ関ビルで、「第39回 International Collaborative Group Meeting(以下、ICGM)」を開催しました。

CTCLSは日本国内総代理店として、英国Lhasa Limited(以下、Lhasa社)が開発したin silico毒性・代謝予測ソリューションを提供しています。またICGMは、日米欧の3極で毎年各1回開催しているLhasa社製品のユーザー会です。同会は、毒性代謝に関する知見を国際的に共有することを目的としたコンソーシアム活動の一環として開催され、ここで行われるセミナーやグループディスカッションで議論された意見や要望が、今後の製品開発に反映されます。

開会の挨拶をしたCTCLS代表取締役社長 横山 良治
開会の挨拶をした
CTCLS代表取締役社長 横山 良治
開会の挨拶をしたLhasa社 CEO David Watson
開会の挨拶をした
Lhasa社 CEO David Watson

セミナー

先ず、Lhasa社が知識ベースin silico毒性予測システムDerek Nexus、統計ベースin silico毒性予測システムSarah Nexus、in silico代謝予測システムMeteor Nexus、毒性試験情報データベースVitic Nexus、in sili-co分解生成物予測システムZenethの各製品におけるプログラムや知識ベースの開発状況、今後のリリース予定について発表しました。特に、Meteor Nexusにおいては、生成する代謝物と代謝部位の予測精度を向上させるため、将来新たに導入される「Occurrence ratio-based」アプローチについて、詳細に説明しました。

製品開発の最新情報を発表したLhasa社 Research Leader Dr. Carol Marchant
製品開発の最新情報を発表した
Lhasa社 Research Leader
Dr. Carol Marchant
製品開発の最新情報を発表したLhasa社 Product Manager Nicholas Marchetti
製品開発の最新情報を発表した
Lhasa社 Product Manager 
Nicholas Marchetti

続いて、キーとなるトピックとして、2014年6月23日にStep4に到達したICH M7「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」ガイドライン(以下:ICHM7ガイドライン)に向けたin silico毒性予測システムの活用について発表しました。

CTCLSは、ICH M7ガイドラインの元、in silico毒性代謝統合プラットフォームLhasa Knowledge Suiteを活用したハザード評価の要件から、同プラットフォームに含まれる知識型および統計型(Q)SARシステム(Derek Nexus、Sarah Nexus)と毒性データベース(Vitic Nexus)を利用するワークフローについて説明しました。

Lhasa社からは、各製品の基本機能に加え、昨年リリースしたDerek Nexus4.0で追加されたNegative Pre-diction機能で用いられるLhasa Ames Test Referenceデータセット(CGX、FDA CFSANほかAmes変異原性の6種類のデータセット)について解説しました。このNegative Predictionにより、予測時にアラートがヒットしなかった場合でも、対象化合物中にこのデータセットに含まれるパターン構造に一致するものがないか更なる調査が行われ、従来のAmes変異原性予測に関するより詳細な知見が得られるようになりました。具体的には、予測結果に"nothing to report"と表示される代わりに、毒性に紐づく構造的特徴(feature)が公知のデータセット中に見られないことが明示されます。このため、LhasaはVitic Nexusを利用し、"unclassified" と"misclassfied"に分類されるfeature(Derek Nexusでは特定できない陽性化合物)の情報を提供します。
また、Sarahの予測精度バリデーション結果は、予測されたConfidence scoreの値が上がるほど、実測値と高い相関が得られる結果を示しています。またDerek NexusとSarah Nexusの異なるアルゴリズムによる補完的利用により、一方による予測結果よりも、両者を利用した方がSensitivity(感度)とSpecificity(特異性)にいずれにおいても予測精度が向上しており、組み合わせた利用が効果的であると説明しました。

ICHM7ソリューション製品群の説明をしたLhasa社 Sales Executive Ella Smoraczewska
ICHM7ソリューション製品群の説明をしたLhasa社
Sales Executive Ella Smoraczewska
ICHM7ソリューション製品群の説明をした Lhasa社 Knowledge Base Team Senior Scientist Dr. Alex Cayley
ICHM7ソリューション製品群の説明をした
Lhasa社 Knowledge Base Team
Senior Scientist Dr. Alex Cayley

ICHM7基本概念の説明をした CTCLS 営業・技術本部 営業第2部 小板橋佑介
ICHM7基本概念の説明をした
CTCLS 営業・技術本部 営業第2部 小板橋佑介

今回のICGMにおけるもう一つの主要なトピックは、GTI(genotoxic impurity) Purge Toolの現開発状況です。このソフトウェアは、出発物資に続く最終生成物に不純物の残留量を算出します。これは、化学反応を理解する専門知識と化学反応が起こる条件を適用することで、規制条件をクリアする最終生成物中に残留する不純物量や、別途不純物に対する試験の実施が不要であることを示すサポーティングデータを提供します。この数学的手法による標準化されたスコアリングシステムに基づくリスク評価は、AstraZeneca社Teasdale氏により開発され、ICH M7 ガイドライン control option 4にも記載されました。
Mirabilisは、世界中の7名のコンソーシアムメンバから提供された科学的根拠に基づき、Lhasa社がプログラム開発を進めています。今回、Purge Toolの提唱者であるAstraZeneca社Teasdale氏が、「Explaining and demonstrating successful use of purging and depletion strategies to control mutagenic impurities」と題して発表しました。また、Lhasa社はMirabilisのプログラム開発における現在の進捗状況について報告しました。

AstraZeneca社 Principal Scientist Dr. Andrew Teasdale
AstraZeneca社
Principal Scientist
Dr. Andrew Teasdale
Lhasa社 Knowledge Base Team Senior Scientist Dr. Susanne A Stalford
Lhasa社
Knowledge Base Team Senior Scientist
Dr. Susanne A Stalford

グループディスカッション

5~6名のユーザー、Lhasa社、CTCLSで一組のグループを構成し、ICH M7 対応のためのin silicoシステムの活用やPurge Toolを主な議題とし、全体で約1時間に渡り、活発な意見交換が行われました。ここでは、Lhasa社が投げかけた問い掛けに対し、ユーザーが各社の利用状況や課題について回答しながら進められました。議論の中で、製品に対する追加や改善を要望する機能に関する率直な意見が多く得られました。また使用経験の長いユーザーが、使用開始して間もないユーザーにアドバイスする姿も見られたことが印象的でした。グループディスカッションの後は、各グループの代表者が議論した内容のサマリーを発表しました。

グループディスカッションの様子(ディスカッション中)
グループディスカッションの様子(ディスカッション中)
グループディスカッションの様子(発表時)
グループディスカッションの様子(発表時)

懇親会

セミナー、グループディスカッション後の懇親会では、参加者間で親交を深めました。CTCLSは、今後も毎年ICGMを開催し、日本国内のユーザーに最新情報を提供します。

グループディスカッションの様子(ディスカッション中)
グループディスカッションの様子(発表時)

CTCライフサイエンス株式会社について

CTCLSは1989年の創業以来、製薬企業を中心としたライフサイエンス業界のお客様を対象にICTソリューションの提供を通して、その課題解決に貢献してきました。CTCLSの強みは、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)グループの最先端かつ広範なICT技術力、先進のサイエンスを取り入れた製品を有するベンダーとの強固なパートナーシップ、そして薬学や生命科学に関する深い理解と豊富な業務知識に基づくコンサルティング力です。これらを活かして、ICTとライフサイエンスの両方の視点から、海外の最先端のサイエンス製品とICT製品・サービスを融合し、単なるシステム構築にとどまることなく、お客様ごとの業務や課題を踏まえた最適なソリューションを提供します。
CTCLSの詳細については http://ls.ctc-g.co.jp/index.html をご覧ください。

Lhasa社について

製薬、化粧品、化学関連企業におけるコラボレーティブデータ共有プロジェクトを促進するために1983年に設立された非営利団体で、創薬・化学の分野における毒性代謝情報知見ベースのソフトウェア開発、販売、保守サポート、コンサルティングサービスを提供しています。Lhasa社では‘Shared Knowledge, Shared Progress’を信条とし、Lhasa社を中心に製薬メーカーなどのLhasa社製品ユーザーによって構成される「Lhasa コラボレーティブメンバー」から得られる信頼性の高いデータをメンバー間で共有し、国際的に毒性や代謝に関する知見を高めることを目的としています。Lhasa社製品は、ユーザーの声をもとに、継続的に機能改善が行われるところが特徴です。コラボレーティブメンバーには、全世界で260の民間企業や研究機関が加入しています。
URL:http://www.lhasalimited.org/ window open

製品紹介ページ

※記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

本件に関するお問い合わせ先

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
ライフサイエンス事業部
TEL:03-6403-2213/E-mail: ls-marcom@ctc-g.co.jp

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