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CMCデータインテグリティ

第3回
データインテグリティを全自動で行える夢のソリューションは存在する?

実は研究領域もデータインテグリティ対応が重要だ

前回の第2回「データインテグリティの肝になることとは?」で、生データの管理が重要なこと、またその理由について筆者の意見を述べました。

ポイントをおさらいしますと、生データの原本管理では、“フォーマットを変えないで”保存されていることが必須要件となります。これは分析機器など実験装置から出力される生データに、人の手を加えないで保存して適切に管理すれば良いだけなので、複雑なことが求められているわけではありません。またIT化が進んでいる現代では、創薬研究開発においても、あらゆる業務でITシステムが活用されてきています。そのため、ITシステムを使えば、いとも簡単に生データ(電子データ)の保管が行えることを想像される方も多いと思います。しかし、これが簡単にできるとすれば「データインテグリティがなぜ今話題になるほど難しいのか?」という疑問がわいてくるのではないでしょうか。

この疑問を明らかにすべく、創薬の研究開発領域で一般的に用いられているITシステムの全体鳥瞰図から見ていきましょう。

図:創薬研究開発領域におけるITシステム全体鳥瞰図図:創薬研究開発領域におけるITシステム全体鳥瞰図

一般的にGxPの対象業務では、各試験に特化した専用システムが市販されています。例えば、非臨床安全性試験や薬物動態試験では、GLP試験管理システムを使用することで、生データの管理がシステムで担保しやすくなります。またGMPに準拠した工業化生産では、決まった規格に基づく治験薬や市販薬を大量に製造するため、生成する生データが定型的です。そのためLIMSやSDMSシステムを用いて、分析装置に直接繋ぎ、定型の生データを自動的にどんどん取り込んでいくことが可能となります。

それでは、GxPの対象とならない研究業務では、生データはどのように取り込みや保管が行われているのでしょうか?上の図のように、研究業務にはCMCでいう製剤や分析研究も含まれます。

創薬研究領域では一般的に、生データの厳密な保管よりも薬効薬理試験結果で得られた効能や、安全性試験における毒性の有無/種類、分析機器から出力された測定・分析結果などを、生成された生データから様々な解析ツールを使って次のステップに進めることが求められる研究成果であると考えられています。そのため、生データの厳密な管理保管に関しては各部門の運用にゆだねられているケースが多いかなと感じています。さらに、生データと実験ノートの関連付けや生データを保管するまでのプロセスの管理、アクセス管理、改ざん防止策、履歴管理、バージョン管理など様々な対応が突然求められることもあります。しかし、これらを全てITシステムでカバーするのは難しく、生データの移動に関してはUSBや目視、ドラッグ&ドロップなど多くの手作業が必要になります。

「重要な生データを人の手作業で移すというのはアリ?」

答えは「YES」です。そもそも手作業自体がデータインテグリティの観点で悪いことではないのです。誤解してはならないのが、何でもITシステムで自動化することが正解ではないということです。

自動または手動にかかわらず、この通りに行えば、生データは安全に必ず保管されるという手順を記したSOPを整備し、そのSOPに従い生データの取扱いが行われていることが重要なのです。しかし、やはり人間が行う手作業では、意図せず誤操作を起こしたり、紛失してしまったりというリスクをゼロにすることは難しいでしょう。

第1回でも述べたように、近年は規制当局からデータインテグリティにまつわる指摘が増えてきており、研究領域においてもデータインテグリティ対応が必要になっていくであろうというのが我々有識者の見解です。研究領域は部門を跨いでデータを受け渡しすることが多く、本質的に試行錯誤の過程を多く含むことから、多種多様なデータが発生します。更に各部門で設けたSOPの内容にばらつきがあるといった問題もあります。そこで部門単位でなく、企業全体として取り組む必要があるため、昨今研究領域におけるデータインテグリティ対応に危機感を持つ製薬企業が増えてきているのです。

ITシステム活用を検討し始めたお客様から、ときおり「研究領域でも、すべての実験装置から出てくる生データを、全自動で保管できるようなシステムはありますか?」といったご質問をいただきます。

結論から申し上げましょう -「残念ながら、期待されている夢のようなシステムは存在しません。」

研究領域で用いられる実験装置には様々な種類や機種があり、それぞれ独自の接続様式を持ちます。また、出力される生データの形式には、機種固有のものもあり多種多様となっています。また生データのファイルサイズは大容量になることもあります。このような理由により、単一のシステムで様々な分析装置に直接接続し、全自動で生データをソフトウェアなどに保存してデータの厳密な管理をするというのはほぼ不可能といえます。

しかし前にも述べたよう、データインテグリティ対応では、実験装置全てに繋がっている必要があるわけではありません。例えば、どうしてもUSBメモリでデータを移さなければならないときには、1人で行うのではなく必ず2名以上で行う、また生データは各研究者が使用するPCではなく、必ず決められた場所に移動させるなど運用で大部分カバーすることが可能です。

CTCは、このような運用面にITの要素を取り入れることで、効率化とコンプライアンスが向上するデータインテグリティ対応ソリューションを提案しています。

そのソリューションの核となるのが電子実験ノートとセキュアなファイルサーバーなどのインフラシステムです。既に電子実験ノートを導入している企業にとっては、既存システムの使い方を工夫することでデータインテグリティ対応が実現できるところがメリットではないでしょうか。

そこで次回以降、電子実験ノートとインフラシステムを中心にデータインテグリティにどのように対応していくかについて、具体的にご紹介します。

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