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第2回
データインテグリティの肝になることとは?

生データ管理の重要性

前回の第1回「いまさら聞けないデータインテグリティ!~ポイントを解説します」のおさらいから入りましょう。

データインテグリティの定義は、「データのライフサイクルを通じて完全で一貫性があること」でした。またデータのライフサイクルとは、生データ(最初に記録される0次データ)⇒転記された1次データ⇒解析など加工が施された2次以降のデータ⇒当局への申請データという一連の流れを指します。

データインテグリティでは、オーディットトレイル(監査証跡)のデータ加工の工程を遡っていけば、申請データから生データまで復元できるということが求められます。そのためには、必ず生データと1次データなど、ステップを跨いだデータ間の紐づけがされている必要があります。

筆者の経験から、上に述べたライフルサイクルの中でも、とりわけ「生データ」の管理が、製薬企業のあらゆる研究開発業務でデータインテグリティの肝になるのではと睨んでいます。

そして生データだけでなく、付随する「メタデータ(属性)」も同時に確実に管理していくことが重要となります。なぜ、それらデータの管理が肝になるのか?

その理由の一つとして、FDAのWarning Letterで、生データとメタデータにまつわる指摘事項が数例報告されていることです。

例えば、「HPLC分析などに使用された設定パラメーターが保存されていないため、生データの再構築ができない状態である」といった保存データの不完全性が挙げられます※1。HPLCなど分析機器から最初に出力されたのが電子データであるにもかかわらず、紙で印刷して保存していたため、機器の設定条件や分析パラメーターなど情報に欠落があり、生データとして認められなかったという指摘もあります※2

FDAなど規制当局によるGMP査察では、申請データの品質に問題がないか厳しく審査されます。そのため、生データをそもそも紛失した場合や、測定日時や測定条件などの属性情報を持たない、生データのみ残っている場合は不完全な状態と見なされます。これでは、データがねつ造でないと証明することはできません。データが都合良く加工されたものでなく、信頼性の高いものであることを証明するためには、解析結果や申請データだけでなく、正しい理解のもとによる分析機器が出力した生データの管理が求められるのです。

生データは、探索研究でも実験が行われるところでは、必ず用いられる用語です。そしてGLP・GMPでは、MHRAのガイダンスなどでそれぞれの領域で、生データについて定義されています。

MHRAのガイダンス(GMP版)では、生データとは「Original records and documentation, retained in the format in which they were originally generated (i.e. paper or electronic), or as a ‘true copy’.」と記載されており、日本語では「最初に生成されたままのフォーマット(すなわち.紙あるいは電子)が保持された状態のオリジナル記録と文書」と解釈できます。この“フォーマットを変えないで”保存されていることが重要となります。分析機器で、電子データを出力せず、紙だけを出力する場合は、この紙が生データとなります※3

データインテグリティの観点でいう、生データとは、分析機器等から最初に生成されたデータとしているので、これを申請データや加工済み高次データから再構築可能な状態で、生データを管理していくことが重要となります。また、測定条件やオーディットトレイル(監査証跡)が生データへの再構築に欠かせない要素ということは上で既に述べました。

では具体的に、データインテグリティ対応に向けた生データ管理をどのようにしていけばよいか?ここで、ALCOA原則に立ち返ってみましょう。

<ALCOA原則-生データを記録するときの留意点>※4

  • Attributable(帰属/責任の所在が明確である)
    → 誰が記載したものかわかる(具体的には、記載者の署名がある)。
  • Legible(判読/理解できる)
    → 第三者が読める、そして理解できる記録になっている。
  • Contemporaneous(同時である)
    → 生成後すぐ記載されたことがわかる(具体的には、記載日の記載がある)。
  • Original(原本である)
    → First Recordである。複製を行った場合には、複製したことを保証する記録も合わせて残されている。
  • Accurate(正確である)
    → 記載内容に誤りがない。

次回は、ALCOA原則を踏まえながら、CTCが提供するデータインテグリティ対応のITソリューションをご紹介します。

引用)
※1 https://www.fda.gov/iceci/enforcementactions/warningletters/2014/ucm390278.htm
※2 https://www.fda.gov/iceci/enforcementactions/warningletters/2012/ucm294321.htm
※3 「データインテグリティセミナー」シグマクシス 新井 洋介氏 発表資料より
※4 http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/allotment/pdf/medical_training_27.pdf
免責事項

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