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沢井製薬株式会社 GxPコンプライアンス関連文書管理システムQUMAS DocComplianceを全国展開し、ひとつ「上の」品質実現を目指す

沢井製薬株式会社
  • 竹田 幸司 様
    沢井製薬株式会社
    システム部長
    竹田 幸司 様
  • 大窪 忠利 様
    沢井製薬株式会社
    信頼性保証本部 品質保証部
    品質統括グループ マネージャー
    大窪 忠利 様

厚生労働省の取組みにより、2020年にはジェネリック医薬品市場80%時代の到来が予想されています。この大きな潮流に対応するため、国内最大手のジェネリック医薬品開発メーカーの沢井製薬株式会社(以下、沢井)は、年間155億錠もの生産能力で、ジェネリック医薬品の安定供給責務を果たしています。
沢井のテレビCMで「なによりも患者さんのために」のコピーは印象的ですが、沢井では、更なる品質向上を目指す施策の1つとして、ITシステム活用を検討していました。先ずターゲットにしたのが、全国の工場で膨大な量が作成されるGxP関連文書の電子化です。700もの多品目を製造し、グローバル展開を進める沢井では、ビジネスが拡大するにつれ増え続けるGxP関連文書の管理が課題となっていました。そこで沢井は、グローバルで導入実績が豊富なGxPコンプライアンス関連文書管理システム「QUMAS DocCompliance」を導入しました。
2017年2月~2018年3月の短期間で、本社、関連会社、全国7工場(三田工場、三田西工場、関東工場、鹿島工場、大阪工場、九州工場、第二九州工場)と全国拠点の本番運用を開始させました。
QUMAS DocCompliance導入と同時に、長年続けられてきたGxP関連文書の紙を原本とした運用を廃止し、電子化に切り替えることに成功しました。これにより、原本管理コストの削減だけでなく、文書管理方法が標準化されたなど、品質管理レベルが向上しました。こうしてQUMAS DocComplianceは、沢井の高品質なジェネリック医薬品の安定供給を支える基盤となりました。

課題と効果

  • Before
    • 課題①
      紙を原本とする運用では、文書ファイリング作業など煩雑な作業が多く、原本管理に一定の時間が割かれていた。
    • 課題②
      承認依頼を紙文書で行っていたため、承認者の不在時には、承認が滞ることもあった。
    • 課題③
      沢井の全国7工場では、元から沢井だった工場と、沢井が買収した他社由来の工場が含まれており、各工場におけるGxP文書管理の運用が統一されていなかった。
  • After
    • 効果①
      QUMAS DocComplianceが、システム内で原本の電子ファイルを保管・管理してくれるため、煩わしい原本管理業務から解放された。
    • 効果②
      承認者の自席まで承認依頼する文書を持ち運ぶ必要がなくなり、承認者は出張先でもモバイルデバイスで承認できるようになり、承認プロセスがスピードアップした。
    • 効果③
      沢井の既存文書を、QUMAS DocComplianceの標準文書タイプに分類していく過程を経ることで、全国の工場間でGxP文書の管理方法を統一できた。

導入の背景・経緯

グローバル展開と生産体制強化が進む中、紙文書の運用に対する改革意識が、沢井社内で高まってきた

  • 全国7工場の製造拠点を有する沢井では、各工場で膨大な紙のGxP(GMP・GQPなど)関連文書が作成、運用されていた。
  • 紙を原本とする運用では、文書ファイリング作業などの原本管理コストに加え、保管スペースの大きさも課題となっていた。
  • 「紙の削減」が謳われ、ITが利活用される時代に、「このまま紙の運用を続けていくべきか?」という疑問が、本社と工場で自然に沸き起こった。
  • 2014年の日本のPIC/S加盟も後押しし、「期は熟した」と本社・工場が一丸となって、GxP文書の電子化に取り組み開始した。

IT活用は、ひとつ「上の」品質を実現するための重点施策だった

  • 沢井では、業務品質向上に向けたIT活用が重点施策に掲げられていた。
  • IT活用がGxP関連文書の管理コストの削減や業務を効率化させたいというニーズにマッチし、GxPコンプライアンス文書管理システムの導入を検討し始めた。

導入製品を選択した理由

長年に渡りグローバルで、GxPコンプライアンス文書管理システムのデファクトスタンダートとなっているQUMAS DocComplianceを選定

  • グローバルで導入実績があることを必須条件に、複数のパッケージ製品を選定対象の候補とした。
  • 長年に渡りグローバルで導入されてきた同製品には、査察対応のためのGxP文書の電子化に関するノウハウが蓄積されており、導入を通じてそれらを享受できるのがメリットだった。

全国7工場の現場担当者から、QUMAS DocComplianceが最も高い評価を得た

  • 本社だけでなく、全国7工場向けに、全ての候補製品の説明会を実施し、現場の意見を重視した製品選定を行った。
  • 候補製品の中でも、QUMAS DocComplianceが実績・機能共に充実しており、最も高い評価だった。
  • 製薬業界の規制(特にGMPとGQP)の要件を満たす機能が揃っていた。例えば監査証跡や電子署名など、電子を原本とする運用に必要な機能が標準装備されており、カスタマイズ不要だったのが良かった。
  • 文書管理だけでなく、いずれはイベント管理と教育管理まで電子化する構想があった。
    そのため、これらをトータルソリューションとして提供可能なQUMASは、品質管理周辺のIT化をしやすい点にメリットを感じた。
測定の様子

図:QUMASのコンプライアンストータルソリューション

様々なGxP文書タイプを網羅した標準の文書タイプと例外にも対応できる柔軟さ

  • QUMAS DocComplianceは、予め定義されている標準の文書タイプに、沢井の既存文書を合わせていくことで、全国7工場の文書管理体系が標準化されていくものと期待できた。
  • 万が一、標準の文書タイプに分類できない文書があった場合でも、同製品にはコンフィグレーションして対応できる柔軟性があるため、製品の仕様により運用を諦めざるを得ないというリスクを排除できた。

導入のポイント

現場のコンピュータ化システムバリデーション(CSV)に対する心理的・物理的負荷を軽減するための対策を講じた

  • CSVは、カテゴリ3を適用できると省力化するため各工場には、QUMAS DocComplianceの標準の文書タイプに既存文書を合わせて体系化してもらうようにした。
  • 全工場の現地に赴き、QUMAS DocComplianceが標準コンフィグレーションとして用意する文書タイプ分類するための議論を行い、どの文書をどこに属させるかという肝となる部分について、丁寧に摺合せをしていった。
  • 開発元から提供された、バリデーションパックに含まれるテストスクリプトを活用することで、テストを省力化できた。
  • 現場のPQに掛かる負担は極力本社が巻き取るようにした。工場には、現地でしかできないテストを、現場の担当者に実施してもらうようにした。

既存文書のデータ移行では、変更管理の頻度を考慮した

  • QUMAS DocComplianceに既存文書をデータ移行する際には、様々なリスク発生を想定し、余裕を持ったスケジュールを組むようにした。
  • データ移行期間にも、膨大な既存文書は常に変更が発生していた。そのため、文書の変更の可能性が少ない文書から先に移行し、変更の可能性が高い文書は最後にアップロードするようことで、再データ移行の手戻りを最小限する工夫をした。

現場への着実な利用浸透を図るため、「定例会」と「ID申請時のルール策定」を設けた

  • 隔週で定例会を開催し、各工場で工夫している運用や課題を報告・情報共有しており、本番運用開始後から現在まで2年間続けており、今後も継続予定である。
  • 定例会は、各工場のアイデアが全国に拡散し、また使用している中で分からないこと・困ったことに対して他工場からアドバイスが得られるため、利用浸透に役立っている。
  • 毎年配属される新担当者向けに、導入時教育資料を作成した。
  • 新担当者は、この資料について教育を受けてからでないと、QUMAS DocComplianceのID申請ができないという制限を設けた。このように、申請ワークフローに組み込むことで、ユーザーのレベルを一定水準まで引き上げることができた。

導入の効果

紙文書原本の電子化により、業務の効率化を図り、かつ当局査察にも適格かつ迅速に対応できる文書管理基盤ができました。また、文書の承認作業などを、出張先のホテルや移動時でも、スマホなどのモバイル端末から実施できるようになった点も業務の効率化に寄与しております。今後、他GxP領域の文書管理へも適用を拡大していければと思っております。

大窪 忠利 様

沢井製薬株式会社
システム部長
竹田 幸司 様

GxP文書の原本を紙から電子にすることで、原本管理業務が大幅に効率化した

  • 原本管理のための文書ファイリングが不要となり、原本管理業務が効率化した。
  • 原本の電子化により、文書の校閲・承認作業の効率化・迅速化に繋がった。
  • QUMAS DocComplianceに取り込んだWordなどの電子ファイルは、一旦承認済みとなると自動的にPDF化されて公開されるなど、原本管理がラクに行えるようになった。
  • 有効文書がシステム内で制御されて公開されるため、古いSOPが誤って参照されてしまうといったリスクが無くなった。
  • 文書のライフサイクルに合わせて、文書の内容見直しや破棄のタイミングでメール通知されるなどワークフローを組めるため、適切な管理がシステムで支援されるようになった。

導入時の要件定義で、全国の工場を回りながら、本社と工場が一丸となって既存文書の文書タイプを分類しました。時間は費やしましたが、この作業を通じて、これまで見る機会が無かった文書も把握することができ、文書管理方法を全国で統一するという目標を達成することができました。

大窪 忠利 様

沢井製薬株式会社
信頼性保証本部 品質保証部
品質統括グループ マネージャー
大窪 忠利 様

文書管理方法の標準化を達成、次の目標である文書書式の統一に向けた布石を打てた

  • 文書管理方法の標準化を通じて、各工場間の運用を統一させることができ、管理水準のレベルアップが図れた。
  • QUMAS DocComplianceの標準機能による文書番号採番ルールや自動格納ルールの設定により、確実な管理を実現した。
  • 同システムの標準文書タイプに、殆どの既存文書をこれに適用できたため、一部の特例を除いて標準機能で運用できている。
測定の様子

図:GxP文書管理体系の標準化

今後の展開

品質管理業務全般のIT化を推進し、ひとつ上の「品質」をとことん追求していく

  • 文書管理に留まらず、イベント管理(変更・逸脱・CAPA管理)や教育管理のIT化も進め、品質管理業務全般の最適化を図る。
  • 現場の負荷を最優先に考慮し、イベント管理と教育管理のいずれを先にIT化すべきか見極めていきたい。
  • 原本のみならず、現場での作業時に、モバイルデバイスからSOPなどの文書を閲覧可能なインフラ整備を進めていき、より完全なペーパーレス化を進めていく。
  • 各国の規制要件や品質管理業務の特性を踏まえて、国内と米国子会社にリーズナブルな品質管理システムの導入を進める。そのため、必ずしも両拠点間によるシステム統一化には拘らない。

導入企業様の情報

沢井製薬株式会社

本社住所
沢井製薬株式会社
〒532-0003
大阪市淀川区宮原5丁目2-30
URL
http://www.sawai.co.jp/ window open

部署名、役職名、その他データは、取材時(2018年6月22日)当時のものです。

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